自動車整備士の受験資格と実務経験|級ごとに必要な条件

自動車整備士の受験資格と実務経験を紹介する記事のアイキャッチ。整備工場の机に置かれた書類とバインダー

当サイトの記事は編集部が法令・国土交通省・厚生労働省などの公的機関の情報、業界団体の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に整備士の求人・転職さがしのサービスへの案内(広告)を含みます。

『自分は今、自動車整備士の試験を受けられるの?』『実務経験って、どんな仕事なら数えてもらえるの?』と迷っている方も多いはずです。ネットで調べると、1年と書いてあったり6か月と書いてあったりして、余計に分からなくなりますよね。

結論から言うと、自動車整備士の受験資格は令和7年7月8日に改正され、実務経験が短くなりました。今は3級が6月以上、2級が3級合格後2年以上が基本です。

この記事を読めば、自分がどの級を、いつから受けられるのかが分かります。

目次

自動車整備士の受験資格は3つの軸で決まる

先に結論

自動車整備士の受験資格は「学歴・養成施設」「実務経験」「持っている級」の3つの組み合わせで決まります。この3つを順番に確かめれば、自分が受けられる級が分かります。

国土交通省の案内では、自動車整備士になるには、一定の受験資格を満たしたうえで国の技能検定に合格する必要があります。受験資格の中身は、自動車整備士技能検定規則で級ごとに決まっています。

『条文を読んでもよく分からない』という方のために、この記事では受験資格を3つの軸に分けてみました。

自動車整備士の受験資格を学歴・養成施設、実務経験、持っている級の3つの軸で見る図解
軸確かめること例
学歴・養成施設学校や学科、養成施設の課程で短くなるか自動車科の卒業、一種養成施設の修了
実務経験認められる職場・作業で何か月働いたか認証工場での点検・整備の作業
持っている級どの級に、いつ合格したか3級の合格日、2級の合格日

いつの時点で満たしていればいい?

ここが意外と知られていないところです。規則では、受験資格は「学科試験の日の前日」の時点で満たしていればよいとされています。

学科と実技の両方が免除される全部免除の人は、技能検定の申請の日の前日が基準です。申込の時点ではまだ足りなくても、学科試験の前日までに届けばよい、という考え方なんです。

講習は「修了日」までに満たす

振興会の技術講習所(二種養成施設)に通う場合は、受講する課程の修了日までに受験資格を満たしている必要があります。講習の申込の時は、修了日の時点で経験が足りるかを確かめておきましょう。

級ごとの受験資格の早見表

ここでの結論

今の制度では、学歴を使わない場合、3級は実務経験6月以上、2級は3級合格後2年以上、1級は2級合格後3年以上です。学校や養成施設の課程によって、さらに短くなったり不要になったりします。

ここからは、自動車整備士技能検定規則の内容を、級ごとに3つの軸で並べてみます。自分に当てはまる行を探してみてください。

自動車整備士3級の受験資格

学歴・養成施設必要な実務経験持っている級
学歴を使わない(中学・高校・大学卒など)6月以上(15歳になった日以後の経験)不要
大学・高校などの機械・電気・電子に関する学科の卒業3月以上不要
大学・高専・高校の自動車に関する学科の卒業定めなし不要
一種養成施設の三級課程の修了定めなし不要

三級二輪自動車整備士は、原動機付自転車の整備作業も実務経験に含められます。また、自動車タイヤ整備士・車体整備士・電気装置整備士に合格している人は、種類によって3級を受けられる場合があります。

自動車整備士3級の受験資格と試験の中身は、3級自動車整備士とはでも詳しく紹介しています。

自動車整備士2級の受験資格(ガソリン・ジーゼル・二輪)

学歴・養成施設必要な実務経験持っている級
学歴を使わない3級合格日から2年以上3級
高校の機械・電気・電子学科、自動車に関する学科の卒業、一種養成施設の三級課程の修了など3級合格日から1年4月以上3級
大学の機械・電気・電子学科の卒業3級合格日から1年以上3級
学歴を問わない二級シャシ合格日から8月以上二級シャシ
一種養成施設の二級課程の修了など定めなし不要

一種養成施設の二級課程の修了のほか、国土交通大臣が定める大学の自動車学科の二級課程の卒業者なども、実務経験の定めがありません。職業能力開発校(1年以上・1400時間以上)の修了者は、3級合格日から1年4月以上の区分に入ります。

2級の種類や取り方は2級自動車整備士とはで詳しく紹介しています。

二級シャシ・1級・特殊整備士の受験資格

資格基本の受験資格短くなる・不要になる例
二級自動車シャシ整備士3級かタイヤ・車体整備士の合格日から1年4月以上学歴などで1年以上・8月以上
1級2級(二級シャシを除く)の合格日から3年以上2級合格者で一種養成施設の一級課程を修了
特殊整備士(タイヤ・電気装置・車体)その装置の整備作業で1年4月以上大学の機械などの学科卒で1年以上、一種養成施設の二級課程修了などで8月以上

1級は、令和7年の改正でも「2級合格後3年以上」から変わっていません。1級までの道のりは1級自動車整備士とはをどうぞ。

状況別:自分はいつ受けられる?

表を見ても、自分の場合はどうなるのかピンとこない方もいますよね。よくある状況ごとに、受けられるようになるまでの流れを並べてみます。

状況3級を受けられるまで2級を受けられるまで
普通科の高校を出て整備工場に就職した実務経験6月以上3級合格日から2年以上
工業高校の機械科を出て整備工場に就職した実務経験3月以上3級合格日から1年4月以上
高校の自動車科を卒業した実務経験の定めなし3級合格日から1年4月以上
一種養成施設の二級課程を修了した実務経験の定めなし実務経験の定めなし

例えば普通科の高校を出て整備工場に就職した場合、6月以上の経験で3級を受け、合格した日から2年以上の経験で2級に進む流れです。

同じ「2級を目指す」でも、学校に通うか働きながら進むかで、受けられるまでの期間がかなり違いますよね。自分の学歴でどこまで短くなるかは、卒業証明書を用意して振興会に確かめてみてください。

令和7年7月の改正で実務経験はどう変わった?

ここでの結論

令和7年7月8日の改正で、2級は3年から2年、3級は1年から6月、特殊整備士は2年から1年4カ月に短くなりました。古い記事の「3級は実務経験1年」は改正前の数字です。

『3級は1年以上って聞いたけど?』という方もいますよね。実は、その情報は改正前のものなんです。

国土交通省は令和7年7月8日に省令を改正し、実務経験の期間を短くしました。解説資料に載っている変化を表にまとめます。

資格改正前令和7年7月8日の改正後
2級3年2年
3級1年6月
特殊整備士2年1年4カ月
1級2級合格後3年変更なし

なぜ短くなったのか

国土交通省の資料では、整備作業が「機械中心」から「電子中心」になり、作業経験よりも座学が重要になってきたことが背景として挙げられています。

事業者の声として「高校生が3級自動車整備士資格を取得後、2級取得までに3年を要するのは、あまりに長い」という意見も紹介されています。短くなった分は「座学で補完」するという考え方です。

古い情報に注意

ネット上には、改正前の「3級は1年」「2級は3級合格後3年」という情報も残っています。年数を調べる時は、令和7年7月8日より後の情報かどうかを確かめましょう。

令和9年1月からの新しい資格での受験資格

令和9年1月1日からは、資格の種類が「三級(総合)」「二級(総合)」「一級(総合)」などに再編されます。新しい規則でも、三級は実務経験6月以上、二級(総合)は三級(総合)合格後2年以上、一級(総合)は二級(総合)合格後3年以上が基本です。

改正規則の附則では、今の受験資格を持つ人の技能検定は、令和10年3月31日(1級は令和11年3月31日)までは従前の例により行うことができるとされています。制度の見直し全体は自動車整備士の資格制度の改正で紹介しています。

自動車整備士の実務経験とは?認められる職場と作業

ここでの結論

自動車整備士の実務経験とは、認証工場などの事業場で、分解整備や主要な装置の点検・調整などの整備作業をした経験のことです。オイルやタイヤの交換だけの経験や、アルバイトなど臨時の勤務は認められないとされています。

受験資格で一番迷うのが、「どんな仕事が実務経験になるのか」ですよね。国土交通省の通達の抜粋をもとに、職場と作業に分けて見ていきます。

実務経験として認められる職場

通達の抜粋では、実務経験として認められる事業場や業務として、次のような物が挙げられています。

職場・業務主な例
自動車特定整備事業の認証を受けた事業場いわゆる認証工場
優良自動車整備事業者の認定を受けた事業場認定を受けた整備工場
定期点検整備促進対策要綱に規定する特定給油所点検・整備も行う給油所
整備用機械器具を備えた整備作業場を持つ販売事業者ガソリン・部品・用品の販売店の整備場
タイヤ・電気装置・車体の整備作業工場専門の整備工場
路上で故障した自動車の救援業務ロードサービスの業務

このほか、これらと同等の整備作業を行える事業場や業務も含まれます。

実務経験として認められる作業・認められない作業

職場だけでなく、作業の中身も見られます。ここが一番大事なところなんです。

認められる作業の例
  • 分解整備にあたる整備作業
  • キャブレータやインジェクション・ポンプなど主要な装置の点検・調整
  • 装置や主要な部品の交換
  • 装置や主要な部品の点検・調整
認められないとされている物
  • オイルの交換作業だけ
  • タイヤの交換作業だけ
  • 灯火装置やワイパー・ブレードなどの交換作業だけ
  • アルバイトなど臨時で勤めている作業経験

特殊整備士の場合は、タイヤならホイール・アライメントやバランス、電気装置なら充電・始動・点火装置や電子制御装置など、その装置の作業が対象です。国土交通省は、エーミング作業の経験を自動車電気装置整備士の実務経験として認めると案内しています。

実務経験のよくある勘違い

『整備工場に勤めていれば、何をしていても実務経験になる』と思っている方もいるかもしれません。でも、受付や洗車だけ、部品の配達だけといった仕事では、整備作業の経験とは言いにくいですよね。

例えば、ガソリンスタンドで働いている場合は、整備の作業場がある店かどうかと、点検・整備の作業をしているかの両方がポイントになります。

実務経験を数える前に確かめたいこと
  • 勤め先が認証工場などの事業場にあたるか
  • 担当している作業が点検・整備の作業か
  • 交換作業だけになっていないか
  • 臨時のアルバイトではなく継続して勤めているか
  • 15歳になった日以後の経験か

アルバイトや派遣での経験の数え方は自動車整備士のアルバイト・派遣でも詳しく紹介しています。

実務経験証明書と申請に必要な書類

ここでの結論

自動車整備士の試験を受ける時は、受験資格を証明する書類を出します。実務経験で受ける人は勤め先に証明してもらう書類、学歴で短くなる人は卒業証明書などを用意します。

受験資格を満たしていても、それを書類で示せないと受けられません。ここでは、申請の時に出す書類を見ていきます。

どんな書類を出すのか

自動車整備士技能検定規則では、申請書を出す人は「受験資格を有することを証する書面」を示すことになっています。JASPAの登録試験の案内でも、必要な物に「受験資格を証する証明書」が挙がっています。

例えば千葉県自動車整備振興会の講習の案内では、実務経験証明書と、実務経験が短くなる人は卒業証書か卒業証明書のコピーを出すよう書かれています。

受け方用意する物の例確かめる所
実務経験で受ける勤め先に証明してもらう実務経験証明書最寄りの自動車整備振興会
学歴で短くなる卒業証書か卒業証明書のコピー卒業した学校
養成施設の修了で受ける修了を示す書類通った養成施設

実務経験証明書の様式や、誰に証明してもらうかの細かい決まりは、受ける振興会の案内で確かめてみてください。

前の職場の経験を使いたい時

『今は整備の仕事をしていないけど、前の職場の経験で受けられる?』という相談もよくあります。

前の職場での経験を使う場合も、その職場に経験を証明してもらう必要があります。辞める前に「資格の受験で実務経験を証明してもらうことはできますか」と聞いておくと安心です。

正しく書くことが大前提

国土交通省の通達では、実務経験の記載が正しくないと分かった場合、検定合格の無効などの処分を受けるとされています。合格を無効とされた場合は、最大3年の受験停止になります。経験の期間や作業の中身は、ありのままに書きましょう。

自動車整備士の受験資格についてよくある相談

ここでの結論

よく聞かれるのは「ガソリンスタンドのアルバイトで受けられるか」「パートでも経験になるか」「全部の級で実務経験がいるのか」の3つです。どれも、職場・作業・勤め方の3点で考えると整理できます。

受験資格について寄せられやすい相談を、3つ取り上げてお答えします。

相談1:ガソリンスタンドのアルバイトは実務経験になる?

ガソリンスタンドでアルバイトをしながら3級を目指したい、という相談はとても多いです。

通達の抜粋では、定期点検整備促進対策要綱に規定する特定給油所は、実務経験が認められる事業場に入っています。一方で、アルバイトなど臨時で勤めている経験は認められないとされています。

さらに、オイルやタイヤの交換作業だけでは認められません。お店の種類・勤め方・作業の中身の3つがそろっているかを、振興会に確かめてみてください。

相談2:パートタイムでも実務経験になる?

『週に何日か、短い時間で働いているけど大丈夫?』という相談も寄せられます。

パートタイムの扱いは、公表されている通達の抜粋では細かく決まっていません。勤務の形や作業の中身によって判断が変わるので、勤め先の上司と振興会に確かめるのが確実です。

相談3:3級も2級も1級も、全部実務経験がいるの?

『3級・2級・1級、全部で実務経験1年以上いるの?』という疑問もよく聞きます。

実は、級ごとに必要な期間は違います。学歴を使わない場合、3級は6月以上、2級は3級合格後2年以上、1級は2級合格後3年以上です。

また、自動車科の卒業や一種養成施設の修了なら、3級や2級の実務経験が不要になる場合もあります。学校に通うか働きながら取るかで、受験までの道のりは大きく変わるんです。

実務経験を積みやすい職場を選ぶ

ここでの結論

働きながら受験資格を満たすなら、認証工場などで点検・整備の作業に関われる職場かどうかが大切です。今の職場で経験を積むのも、整備の作業が多い職場へ移るのも、どちらも自然な選択肢です。

『今の職場だと、交換作業ばかりで経験にならないかも』と不安な方もいますよね。まずは上司に「受験に向けて、点検や整備の作業にも関わりたいです」と相談してみてください。

働きながら資格を取る進め方は働きながら自動車整備士の資格を取るにはで詳しく紹介しています。

職場選びで見る所理由
認証工場や指定工場か実務経験が認められる事業場か分かる
点検・整備の作業を任せてもらえるか交換作業だけでは認められない
振興会の講習に通わせてもらえるか講習の修了で実技が免除になる
実務経験証明書を出してもらえるか申請の時に必要になる

一方で、整備の作業が少なく、受験資格がなかなか貯まらない職場もあります。資格支援がある職場や、働きながら資格を取れる職場の求人を比べてみると、受験までの近道が見つかることもあります。

整備士の求人・転職さがし(PR)

資格を活かせる職場を探すなら、整備士の求人も比べてみる

資格手当や資格取得の支援、扱う車の種類、休みの取り方は、職場によって大きく違います。地域や条件から整備士の求人を探して、今の自分に合う働き方を比べてみてください。

無料整備士の求人を探す

求人の条件・待遇は各求人票と応募先の案内でご確認ください。

よくある質問

自動車整備士3級の受験資格は何ですか?

学歴を使わない場合、15歳になった日以後の実務経験6月以上です。機械・電気・電子に関する学科の卒業者は3月以上、自動車に関する学科の卒業者や一種養成施設の三級課程の修了者は実務経験の定めがありません。

自動車整備士2級の受験資格は何ですか?

学歴を使わない場合、3級合格日から2年以上の実務経験です。学歴などで1年4月以上や1年以上に短くなる場合があり、一種養成施設の二級課程の修了者などは実務経験の定めがありません。

自動車整備士の実務経験とは何ですか?

認証工場などの事業場で、分解整備や主要な装置の点検・調整などの整備作業をした経験です。オイル・タイヤ・灯火装置・ワイパー・ブレードなどの交換作業だけの経験や、アルバイトなど臨時の勤務は認められないとされています。

受験資格はいつの時点で満たしていればいいですか?

規則では、学科試験の日の前日の時点です。学科と実技の両方が免除される全部免除の人は、申請の日の前日の時点で満たしている必要があります。

実務経験証明書はどこでもらえますか?

実務経験を積んだ勤め先に証明してもらう書類です。様式や書き方は、受ける地域の自動車整備振興会の案内で確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 受験資格は「学歴・養成施設」「実務経験」「持っている級」の3つの軸で決まる
  • 令和7年7月8日の改正で、3級は6月以上、2級は3級合格後2年以上に短くなった
  • 1級は2級合格後3年以上のまま変わっていない
  • 実務経験は職場と作業の中身の両方が見られる
  • 受験資格は学科試験の日の前日の時点で満たしていればよい
実務経験として認められる作業と認められない作業を並べた図解
自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

自動車整備士の資格の種類・受験資格・試験の日程と勉強法から、専門学校や働きながら資格を取る道、仕事内容・年収・求人の選び方までを、整備士を目指す人と働く人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次