自動車整備士は国家資格|国土交通省の技能検定の仕組み

自動車整備士が国家資格であることと技能検定の仕組みを紹介する記事のアイキャッチ。机に置かれた証書と本

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『自動車整備士って、国家資格なの?民間の資格とは何が違うの?』と気になっていませんか。履歴書に書く時や、学校を選ぶ時に知っておきたいところですよね。

結論から言うと、自動車整備士は道路運送車両法にもとづいて国土交通大臣が技能検定を行う国家資格です。法律の位置づけ、検定の仕組み、仕事で求められる場面の3つを押さえると、国家資格の意味がはっきりします。

この記事では、自動車整備士と法律・法令の関係を、なるべくかみくだいてお伝えしますね。

目次

自動車整備士は国家資格?法律で決まった国の技能検定

先に結論

はい、国家資格です。道路運送車両法の第55条に、国土交通大臣が自動車整備士の技能検定を行うと書かれています。合格すると国土交通大臣から合格証書が交付されます。

『国家資格って、どこにそう書いてあるの?』と思う方もいますよね。実は、法律の条文にはっきり書かれているんです。

道路運送車両法の第55条

道路運送車両法の第55条には、自動車整備士の技能検定についての決まりがまとまっています。中身をかみくだくと、次のとおりです。

項書かれていること(要旨)
第1項国土交通大臣は、自動車の整備の向上を図るため、申請により、自動車整備士の技能検定を行う
第2項技能検定は、保安基準など整備に関する知識と技能を、学科試験と実技試験で判定する
第3項国土交通大臣が指定する養成施設の課程を修了した人などは、試験の全部か一部を免除できる
第4項不正があった時は受験を止めたり合格を無効にしたりでき、3年以内の期間、受験させないことができる
第5項種類・試験科目・受験の手続きなどの細かいことは、国土交通省令で決める

この第5項を受けて定められているのが、自動車整備士技能検定規則(昭和26年運輸省令第71号)です。資格の種類や受験資格、試験の免除などは、この規則に書かれています。

国土交通省の案内

国土交通省は、自動車整備士になるには、一定の受験資格を満たしたうえで、国土交通大臣の行う技能検定を受けて合格しなければならないと案内しています。学科試験は、一級の場合は筆記と口述です。

条文の原文は、e-Gov法令検索の道路運送車両法で読めます。国土交通省の案内は自動車整備士になるためにのページにまとまっています。

「国家資格」という言葉について

法律に「国家資格」という言葉が書かれているわけではありません。国の大臣が行う検定に合格して得る資格なので、国家資格と呼ばれているんです。

国家資格であることの意味を3つに分けて見る

ここでの結論

自動車整備士が国家資格であることは、「法律の位置づけ」「検定の仕組み」「仕事で求められる場面」の3つに表れています。3つを表にすると、資格の重みが見えてきます。

『国家資格だと、何がいいの?』という疑問にこたえるために、意味を3つに分けてみました。

自動車整備士が国家資格であることの意味を、法律の位置づけ・検定の仕組み・仕事で求められる場面の3つに分けた図解
見方中身根拠になる法令など
法律の位置づけ国土交通大臣が技能検定を行い、合格証書を交付する道路運送車両法 第55条、自動車整備士技能検定規則
検定の仕組み種類ごとに学科と実技で判定し、登録試験や養成施設の修了で免除がある自動車整備士技能検定規則 第3条・第6条
仕事で求められる場面認証工場の整備主任者、整備士の人数、自動車検査員の要件道路運送車両法施行規則、指定自動車整備事業規則

例えば、整備工場が国の認証を受けるには、決まった級の整備士を置く必要があります。資格が工場の仕組みそのものに組み込まれているのが、国家資格ならではの所なんです。

国家資格であることを確かめるポイント
  • 法律(道路運送車両法)に技能検定の決まりがある
  • 国土交通大臣が合格証書を交付する
  • 整備工場の認証の条件に、整備士の人数が入っている
  • 自動車検査員の要件に、整備主任者としての経験が入っている

国土交通省の技能検定の仕組み:登録試験・国の試験・全部免除

ここでの結論

資格を得る最後の手続きは、国の技能検定です。多くの人は日本自動車整備振興会連合会の登録試験に合格して国の試験を免除され、運輸支局などで「全部免除」の申請をして資格を得ます。

『国家試験って、国土交通省の会場で受けるの?』と思っている方も多いはずです。実は、仕組みは少し二重になっているんです。

国が自ら試験をする種類は少ない

自動車整備士技能検定規則では、国の技能検定は国土交通大臣が必要と認める時に行うとされています。令和8年度に国が試験を行う種類は、二級自動車シャシ整備士だけです。

項目令和8年度の国の技能検定(二級自動車シャシ整備士)
受付期間令和8年6月29日〜7月10日
学科試験令和8年9月16日
実技試験令和8年11月15日
合格発表予定日令和8年11月27日

過去の年度も、国が自ら試験をしたのは二級シャシや電気装置、車体などに限られています。そのほかの種類は、登録試験を通じて資格を得る形です。

受ける人の数で見ると違いがよく分かる

国と登録試験で、受ける人の数はかなり違います。公表されている数字を並べてみました。

試験回・種類受験者数
国の技能検定令和7年度 自動車電気装置整備士の学科28名(合格12名)
国の技能検定令和7年度 自動車車体整備士の実技19名(合格15名)
登録試験令和7年度第2回の学科(全種類の合計)30,329人(合格25,536人)

国の試験の受験者は数十名、登録試験は数万人です。『国家試験を受ける』と言った時、実際には登録試験を受けている人がほとんどだと分かりますね。

登録試験の役割

規則では、国土交通大臣の登録を受けた機関が行う試験に合格した人は、対応する国の学科試験や実技試験が免除されます。今登録されている機関は、日本自動車整備振興会連合会だけです。

この登録は、5年ごとに更新が必要とされています。登録試験の合格による免除は、合格の日から2年を経過しないうちに申請した場合に受けられます。

全部免除で申請して資格を得る

学科も実技も免除になった人の技能検定は、随時、申請により行われます。国土交通省の案内でも、この申請は随時受け付けるとされています。

登録試験から国家資格を得るまでの流れ
  1. 受験資格を満たし、最寄りの自動車整備振興会で登録試験に申し込む
  2. 登録試験の学科と実技に合格する(養成施設を修了していれば実技は免除)
  3. 合格から2年以内に、最寄りの運輸監理部か運輸支局で技能検定を申請する
  4. 受験手数料を納める(全部免除の場合は1件2,450円)
  5. 国土交通大臣から合格証書を受け取る

国土交通省の案内では、国の技能検定の受験手数料は、種類1件につき7,200円、全部免除の人は2,450円です。登録試験の手数料は回ごとに違うので、受ける回の案内で確かめてください。

試験の内容や問題数は自動車整備士の国家試験とはで紹介しています。

申請を忘れたままにしない

登録試験や養成施設の修了による免除には、2年という期限があります。合格したのに国の申請をしないまま期限を過ぎてしまうと、免除が受けられなくなります。合格したら早めに申請しておきましょう。

不正があった時の決まり

道路運送車両法では、試験で不正をした人は、受験を止められたり合格を無効にされたりします。3年以内の期間、受験できなくなることもあります。

国土交通省の通達の抜粋でも、実務経験の記載が正しくないと分かった場合は合格の無効などの処分を受け、最大3年の受験停止になると案内されています。

法律・法令の中での自動車整備士:仕事で求められる場面

ここでの結論

道路運送車両法や関係する法令は、整備士一人ひとりより、整備工場という「事業」に決まりを課す形です。その条件の中に、整備士の人数や級が組み込まれています。

『法律で、整備士は何が決められているの?』と気になる方もいますよね。ここでは、仕事の場面に関わる法令を見ていきます。

整備工場の認証と整備士の人数

道路運送車両法の第78条では、自動車特定整備事業を経営しようとする人は、事業場ごとに地方運輸局長の認証を受けなければならないとされています。特定整備とは、分解整備と電子制御装置整備のことです。

道路運送車両法施行規則の第57条では、認証の条件として人の配置が決まっています。

決まり中身(分解整備を行う事業場)
従業員の数特定整備に従事する従業員が2人以上
一級か二級の整備士少なくとも1人
整備士の数一級・二級・三級の整備士が、従業員の数を4で割った数以上
整備主任者一級か二級の整備士から選び、特定整備と記録簿の記載をまとめて管理させる

指定工場と自動車検査員

国の認証に加えて、設備や検査の体制が整った工場は「指定自動車整備事業」の指定を受けられます。指定を受けた工場は、事業場ごとに自動車検査員を選ばなければなりません。

指定自動車整備事業規則の第4条では、自動車検査員の要件が決まっています。分解整備を行う事業場の整備主任者として1年以上、一級の合格者なら6月以上の経験があり、地方運輸局長の教習を修了した人などです。

くわしくは自動車検査員とはで紹介しています。

法令に違反した時の罰則

道路運送車両法の第109条では、認証を受けないで自動車特定整備事業を経営した人などは、50万円以下の罰金とされています。

第110条では、自動車検査員を選ばなかった時などに、30万円以下の罰金とされています。整備士の資格は、こうした事業の決まりを守るための土台になっているんです。

自分の車の点検は使用者の義務

道路運送車両法では、車の使用者自身にも、点検をして必要な整備をし、基準に合うよう保つ義務があります。使用者が自分で特定整備をした時は、点検整備記録簿に記載する必要があります。

『じゃあ、資格がないと整備の仕事はできないの?』という疑問も出てきますよね。法令は事業に認証を求める形なので、一人ひとりに免許を求める条文は見当たりません。この話は無資格でできる仕事と注意点でくわしく見ていきます。

国家資格の自動車整備士、これからの変化

ここでの結論

自動車整備士の制度は、車の電子化に合わせて大きく変わっています。令和9年1月1日には資格の種類が組み直され、令和11年4月1日からは自動運転車の検査員の要件も変わります。

『国家資格だから、制度はずっと同じでしょ?』と思っていると、思わぬ所でつまずくことも。ここ数年の大きな変化を、時間の順に並べてみました。

自動車整備士の制度の変化を、令和2年の特定整備から令和11年の検査員の要件まで時間の順に並べた図解
時期変わったこと・変わること
令和2年4月1日特定整備制度が始まり、カメラやレーダーに関わる電子制御装置整備が加わる
令和6年10月1日電気自動車などの整備の特別教育で、蓄電池の電圧の上限がなくなる
令和7年7月8日受験資格の実務経験が短くなる(三級6月以上、二級は三級合格後2年以上など)
令和9年1月1日資格が14種類から9種類に組み直される(一級の口述試験は廃止)
令和11年4月1日自動運転車の検査を行う自動車検査員は、一級の合格者に限られる

令和9年1月1日の資格の見直し

国土交通省は、自動車技術の進化に対応するため、一級自動車整備士(総合)をはじめとした電子制御の内容を含む資格を設けるとしています。今の資格を持つ人は、新しい資格に合格した人とみなされます。

改正の中身は資格制度の改正、新しい種類の一覧は自動車整備士の資格の種類で紹介しています。

令和7年7月8日の改正で変わったこと

令和7年7月8日の国土交通省の発表では、実務経験の短縮のほかにも、いくつかの見直しが行われました。

令和7年7月8日の主な見直し
  • 二級・三級・特殊整備士の受験に必要な実務経験の短縮
  • 電子の点検整備記録簿の解禁
  • 整備主任者研修や自動車検査員研修などのオンライン化の解禁
  • 自動運転車の検査員の要件の強化(令和11年4月1日施行)

国土交通省の資料では、整備の作業が「機械中心」から「電子中心」になり、作業経験よりも座学が大事になっていることが背景に挙がっています。

資格を活かせる職場を選ぶ

国家資格を取ったら、その資格がきちんと評価される職場で働きたいですよね。今の職場で上の級を目指すのも、資格手当や講習の支えがある職場を探すのも、どちらも前向きな選択です。

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国家資格について、よくある相談

ここでの結論

知恵袋でよく読まれているのは、「国家一級はすごいの?」「二級はガソリンとジーゼルの両方に受からないといけない?」「二級に落ちたけど就職は決まっている」という相談です。

知恵袋で多く読まれている相談を、要約して答えてみますね。

相談1:国家一級の資格を持っている人って、すごいの?

「自動車整備士の国家一級を持っている人は、すごいのか」という相談です。とても多く読まれています。

一級は、二級(二級シャシを除く)に合格してから3年以上の実務経験を積んで、ようやく受けられる資格です。そのうえで、筆記・口述・実技の3つに合格する必要があります。

登録試験の一級小型の筆記の合格率は、令和7年度第2回で50.0%でした。陸上自衛隊の技術陸曹の募集では、一級を持つ人が1等陸曹で採用されるなど、公的な募集でも上の扱いを受ける例があります。

『すごいかどうか』を一言で決めるのは難しいですが、長い経験と幅広い試験を乗り越えた資格なのは確かです。くわしくは1級自動車整備士とはで紹介しています。

相談2:二級は、ガソリンとジーゼルの両方に受からないと取れない?

「国家資格の二級自動車整備士は、ガソリンとジーゼルのどちらも合格しないと取れないのか」という相談です。

自動車整備士技能検定規則では、技能検定は種類ごとに行われます。二級ガソリンと二級ジーゼルは別の種類なので、片方に合格すれば、その種類の二級自動車整備士になれます。

例えば、二級ガソリンにだけ合格した人は「二級ガソリン自動車整備士」です。二級ジーゼルは、あとから受けて追加で取ることもできますよ。

両方取るメリット

一級小型や一級大型の一種養成施設の課程は、二級ガソリンか二級ジーゼルを持つ人が入れます。両方を持つ人は、一級課程の修業年限が短くなる決まりがあります。

相談3:二級に落ちたけれど、就職は決まっている

「子どもが二級の国家資格に落ちてしまった。就職は決まっているが、どうなるのか」という保護者からの相談です。

資格が取れなかった時の扱いは、会社によって違います。まずは本人から会社に結果を伝え、次の受験をどうするか相談するのが先です。

次のチャンスは、思っているより近いかもしれません。登録試験は年2回で、令和8年度第2回の学科は令和9年3月14日、受付は令和8年12月14日〜18日です。

養成施設を修了した人の実技の免除は、修了後2年間あります。働きながら次の回を目指せるので、焦らず計画を立ててみてください。

本人には、こんな声をかけてみるのもいいかもしれません。

「次はいつ受けられるか、一緒に調べてみようか」「会社には早めに伝えておこうね」

よくある質問

自動車整備士は国家資格ですか?

はい。道路運送車両法の第55条にもとづいて、国土交通大臣が技能検定を行う国家資格です。合格すると国土交通大臣から合格証書が交付されます。

自動車整備士の試験は国土交通省が行うのですか?

国の技能検定は国土交通大臣が行いますが、多くの種類は日本自動車整備振興会連合会の登録試験に合格して国の試験を免除される形です。令和8年度に国が自ら試験を行うのは二級自動車シャシ整備士だけです。

自動車整備士に関係する法律・法令は何ですか?

道路運送車両法と自動車整備士技能検定規則が中心です。整備工場の認証の条件は道路運送車両法施行規則、自動車検査員の要件は指定自動車整備事業規則に書かれています。

国家資格の自動車整備士に更新はありますか?

自動車整備士技能検定規則には、合格の有効期限や更新の決まりは見当たりません。整備主任者になると、運輸支局などが行う研修を受ける場面があります。

登録試験に合格しただけで自動車整備士になれますか?

登録試験の合格だけでは足りず、合格から2年以内に運輸支局などで国の技能検定を申請し、合格証書を受け取って資格を得ます。

まとめ

この記事の要点
  • 自動車整備士は、道路運送車両法の第55条にもとづく国家資格
  • 細かい決まりは自動車整備士技能検定規則(国土交通省令)にある
  • 多くの人は登録試験に合格し、国の技能検定を全部免除で申請して資格を得る
  • 整備工場の認証や自動車検査員の要件に、整備士の人数や級が組み込まれている
  • 令和9年1月1日の資格の見直し、令和11年4月1日の検査員の要件など、制度は変わり続けている
自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

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