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電気自動車やハイブリッド車が増えてきて、今の資格のままで整備できるのか気になっている方も多いはずです。これから整備士を目指す方なら、EVの時代に何を学べばいいのかも知りたいですよね。
結論から言うと、電気自動車専用の「整備士の国家資格」があるわけではありません。自動車整備士の資格に加えて、高電圧の電池を積んだ車を整備する人には、労働安全衛生規則で決められた「特別教育」が必要なんです。
この記事では、資格と特別教育の関係と、EVの整備で増える作業ごとに学びたいことを紹介します。
電気自動車の整備士に必要な資格は?
電気自動車の整備でも、土台になるのは自動車整備士の資格です。そのうえで、対地電圧が50ボルトを超える電池を積んだ車を整備するなら、事業者が行う特別教育を受ける必要があります。
EVは英語のelectric vehicleの頭文字です。自動車整備士とEVの関係で、まず押さえたいのが資格の話です。
『電気自動車の整備士資格って、別にあるんじゃないの?』と思う方もいますよね。実は、国の自動車整備士技能検定に「電気自動車」だけの種類はありません。
電気自動車の整備に関わる資格や教育を、表にまとめました。
| 名前 | どんなものか | 誰が関わるか |
|---|---|---|
| 自動車整備士(一級・二級・三級など) | 国土交通大臣が行う技能検定の国家資格 | 整備士本人が受験する |
| 自動車電気装置整備士 | 電気装置の分野の特殊整備士 | 整備士本人が受験する |
| 電気自動車等の整備の業務に係る特別教育 | 労働安全衛生規則で決められた安全のための教育 | 事業者が働く人に受けさせる |
| 電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習 | カメラやレーダーの整備をする工場の整備主任者になるための講習 | 運輸支局長などが行う |

自動車整備士の資格の種類は自動車整備士の資格の種類で一覧にしています。
電気自動車等の整備の業務に係る特別教育とは
労働安全衛生規則第36条では、対地電圧が50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車の整備の業務を、特別教育が必要な業務としています。
この教育の正式な名前は「電気自動車等の整備の業務に係る特別教育」です。厚生労働省の通達では、対象の車として次のものが挙げられています。
- ハイブリッド自動車
- プラグインハイブリッド自動車
- 電気自動車(内燃機関を持たないもの)
- 燃料電池自動車
- バッテリー式のフォークリフトなどの車両系荷役運搬機械
- バッテリー式のドラグ・ショベルなどの車両系建設機械
つまり、ハイブリッド車の整備も対象に入るということなんです。今の職場で電気自動車を扱っていなくても、ハイブリッド車を整備するなら関係があります。
これまでの改正の流れ
この特別教育は、ここ数年で2回見直されています。
| 時期 | 主な中身 |
|---|---|
| 令和元年10月1日施行 | 電気自動車等の整備の業務を、低圧電気取扱業務から独立させ、科目や範囲を決めた |
| 令和6年10月1日施行 | それまで低圧の電池を積んだ車だけが対象だったが、電池の電圧の上限をなくした |
いわゆる「低圧電気取扱業務の特別教育」とは、労働安全衛生規則の中で別の号として分かれています。名前が似ているので、どちらの教育の話なのかを職場で確かめておくと混乱しませんよ。
令和6年の見直しでは、学科の科目名を「電気に関する基礎知識」などに改め、実技の「サービスプラグの取扱いの方法」を「停電の方法」に改めています。
厚生労働省の通達では、一級から三級までの自動車整備士や自動車電気装置整備士の合格者で、電気の危険性の基礎知識があると認められる人が対象です。こうした人は、学科の「電気に関する基礎知識」について十分な知識がある人として扱えるとされています。
特別教育は、その業務に就かせる事業者が行うものです。働く人が自分で受けに行くものとは限らないので、職場で受けられるかを確かめてみてください。なお、検討会の報告書では、電気自動車等のユーザーは対象にしないとされています。
EVの整備で増える作業と、今の整備士が学ぶこと
EVやハイブリッド車の整備では、エンジン車にはなかった学びが増えます。3つに分けて考えると、何から手を付ければいいかが見えてきます。
『EVの時代になったら、今までの経験は役に立たなくなるの?』と心配になる方もいますよね。そんなことはありません。ブレーキや足回りなど、どの車にもある部分の整備は変わらず大事です。
そのうえで、増える作業と学びたいことを表にしました。
| 分け方 | 増える作業の例 | 今の整備士が学びたいこと |
|---|---|---|
| 高電圧の扱い | 電池を積んだ車の点検・整備 | 特別教育、安全作業用具の使い方、停電の方法 |
| 電子制御 | カメラやレーダーの取り外し・調整(エーミング) | 電子制御装置整備の仕組み、整備主任者の講習 |
| 点検の考え方 | 診断機(スキャンツール)を使った点検 | 電気回路の基礎、診断機の読み取り方 |

電子制御の作業は「特定整備」になった
令和2年4月から「特定整備制度」が始まり、衝突被害軽減ブレーキなどのカメラやレーダーに関係する作業は「電子制御装置整備」として、国の認証が必要になりました。経過措置は令和6年3月31日で終わっています。
電子制御装置整備を行う工場の整備主任者は、一級の整備士か、二級などの整備士で運輸支局長などが行う講習を修了した人です。一級小型自動車整備士は、この講習の受講が免除されています。
点検のやり方も変わってきている
国土交通省は令和7年7月8日に、時代に合わせた整備事業の規制の見直しを発表しました。その中には、スキャンツールなどを使った点検ができる範囲の拡大(令和7年10月8日施行)も含まれています。
背景として、整備の作業が「機械中心」から「電子中心」になっていることが挙げられています。電気の知識は、これからの整備士にとって欠かせない力の一つなんです。
- 職場で特別教育を受けられるかを確かめる
- 電気回路の基礎を、教科書で復習しておく
- 診断機の使い方を、先輩に教わりながら覚える
- 自動車電気装置整備士の受験を考えてみる
- 電子制御装置整備の講習の受講条件を確かめる
電気に強い整備士を目指す資格と、令和9年の見直し
今の「自動車電気装置整備士」は、令和9年1月1日の資格体系の見直しで「自動車電気・電子制御装置整備士」に再編されます。
自動車整備士の電気分野の資格として、今あるのが特殊整備士の「自動車電気装置整備士」です。国土交通省の案内では、特殊整備士は「各々の分野について専門的な知識・技能を有すること」とされています。
自動車整備士技能検定規則では、自動車電気装置整備士の受験には、電気装置の整備作業の実務経験が1年4月以上必要です(大学の機械などの学科を出た人は1年以上など)。
令和9年1月1日からの資格の変化
令和9年1月1日からは、自動車整備士の種類が9種類に再編されます。国土交通省の資料では、一級(総合)・二級(総合)・電気・電子制御装置・車体・電子制御装置の資格が「電子制御の内容を含む資格」とされています。
| 今の資格 | 令和9年1月1日以後のみなし |
|---|---|
| 一級大型・一級小型 | 一級自動車整備士(総合) |
| 二級ガソリン・二級ジーゼル | 二級自動車整備士(総合) |
| 自動車電気装置整備士 | 自動車電気・電子制御装置整備士 |
| 自動車車体整備士 | 自動車車体・電子制御装置整備士 |
すでに持っている資格は、新しい資格に合格しているものとみなされます。今持っている資格がむだになるわけではないので、安心してくださいね。
電気の分野とあわせて取りたい資格は自動車整備士と一緒に持っておきたい資格で紹介しています。
EVを扱う職場で確かめたいこと
これから電気自動車の整備に関わりたいなら、職場選びの段階で確かめておきたいことがあります。同じ整備工場でも、EVやハイブリッド車をどれくらい扱うかは職場によってかなり違うんです。
| 確かめたいこと | 理由 |
|---|---|
| EVやハイブリッド車の入庫があるか | 実際に触れる機会がないと経験が積みにくい |
| 特別教育を職場で受けられるか | 高電圧の電池を積んだ車の整備に就く前に要る |
| 電子制御装置整備の認証があるか | エーミングなどの作業に関われるかが変わる |
| 講習や資格の受験を支える制度 | 電気装置整備士などを目指しやすくなる |
面接では「ハイブリッド車や電気自動車の整備はどれくらいありますか」と聞いてみると、職場の様子がつかみやすいですよ。
電気自動車と自動車整備士についてよくある相談
質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。
相談1「電気自動車の整備に、整備士資格以外の特別な資格は必要?」
電気自動車を整備するには、自動車整備士の資格のほかに特別な資格が要るのか、という相談です。
国家資格を新しく取る必要はありませんが、対地電圧が50ボルトを超える電池を積んだ車の整備には、事業者が行う特別教育が必要です。ハイブリッド車も対象に入ります。
相談2「車の整備に、電気工事の資格は必要?」
自動車を整備するのに、整備士の資格のほかに電気工事の資格が要るのか、という相談です。
車の電気まわりの整備で求められるのは、自動車整備士の資格と、高電圧の電池を積んだ車なら特別教育です。整備士の資格の中にも、電気装置を専門にする自動車電気装置整備士があります。
相談3「自動車電気装置整備士は難しい?取るべき?」
自動車電気装置整備士は難しいのか、取っておくべきか迷っている、という相談です。
電子制御の作業が増えている今、電気に強い整備士は職場で頼られる存在です。電子制御装置整備の整備主任者の条件にも関わるので、キャリアの選択肢を広げたい人は考えてみてください。
EVやハイブリッド車をよく扱う職場、特別教育や講習の受講を支えてくれる職場で経験を積むと、電気の知識が身につきやすくなります。新しい技術に触れたい人は、整備士の求人を比べてみると選択肢が広がります。
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整備士の仕事のこれからは自動車整備士の将来性、仕事全体のことは自動車整備士とは?で紹介しています。
よくある質問
電気自動車の整備士資格はありますか?
自動車整備士技能検定に、電気自動車だけの種類はありません。自動車整備士の資格に加えて、高電圧の電池を積んだ車の整備には特別教育が必要です。
ハイブリッド車の整備にも特別教育は必要ですか?
はい。厚生労働省の通達では、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車も対象の車として挙げられています。
特別教育は自分で受けに行くものですか?
特別教育は、その業務に就かせる事業者が行うものです。まずは職場でどのように受けられるかを確かめてみてください。
これから整備士を目指すなら、電気の勉強もしておくべきですか?
整備の作業が機械中心から電子中心に変わってきていると、国土交通省の資料でも説明されています。学校や職場で電気回路の基礎をしっかり学んでおくと、EVやハイブリッド車の整備にも入りやすくなります。
令和9年の見直しで、今の電気装置整備士の資格はどうなりますか?
自動車電気装置整備士は、自動車電気・電子制御装置整備士に合格しているものとみなされます。ただし認証や整備主任者などの要件では別の決まりがあるので、必要な時は運輸支局で確かめましょう。
まとめ
- 電気自動車だけの整備士の国家資格はなく、土台は自動車整備士の資格
- 対地電圧50ボルト超の電池を積んだ車の整備には、事業者が行う特別教育が必要
- 特別教育の対象にはハイブリッド車も含まれる
- 増える作業は、高電圧の扱い・電子制御・点検の考え方の3つで整理できる
- 自動車電気装置整備士は、令和9年1月1日に電気・電子制御装置整備士へ再編される





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