自動車検査員とは|自動車整備士との違いとなるまでの条件

自動車整備士と自動車検査員の違いと、検査員になるまでの条件を紹介する記事のアイキャッチ。検査ラインと点検記録のバインダー

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整備の仕事をしていると、先輩が「検査員」と呼ばれているのを耳にしますよね。『検査員って整備士とは別の資格なの?どうしたらなれるの?』と気になっている方も多いはずです。

結論から言うと、自動車検査員は、指定工場で自動車の検査を任される人のことです。整備士の資格を持ち、整備主任者として経験を積み、国の教習を終えた人が選ばれます。

この記事では、自動車整備士と検査員の違いを3つの面で比べて、なるまでの条件を順番に見ていきますね。

目次

自動車検査員とは?指定工場で検査を任される人

先に結論

自動車検査員は、国から指定を受けた整備工場(指定工場)で、整備した車が保安基準に合っているかを検査する人です。道路運送車両法では、指定工場は事業場ごとに検査員を選ばなければならないと決められています。

整備工場には、国の認証を受けた「認証工場」と、その中からさらに指定を受けた「指定工場」があります。指定工場は、地方運輸局長から指定自動車整備事業の指定を受けた工場です。

指定を受けるには、優良な設備や技術、管理の体制に加えて、自動車の検査の設備を持ち、検査員を選んで検査させる体制があることが求められます。

JASPAの令和7年度の調査では、認証工場の事業場は92,251、そのうち指定工場は29,810でした。指定工場で働けば、検査員を目指す道が身近にあるということですね。

工場の種類どんな工場か検査員
認証工場地方運輸局長の認証を受けて特定整備を行う工場人員の決まりは整備士の人数と整備主任者
指定工場認証工場のうち、設備・技術・管理の基準を満たして指定を受けた工場事業場ごとに選ばなければならない

「検査員の資格」は試験で取るもの?

『検査員の資格』という言い方をよく聞きますよね。ただ、法令の上では、条件を満たした人を指定工場が検査員として選ぶ形で決められています。

整備士の技能検定のように、合格したら誰でも名乗れる資格とは少し性質が違うんです。この点を押さえておくと、次の比較が分かりやすくなりますよ。

自動車整備士と検査員を3つの面で比べる

ここでの結論

自動車整備士と検査員は「役割」「必要な条件」「職場での位置づけ」で比べると違いがはっきりします。整備士が整備をする人なら、検査員は整備した車を検査する人です。

自動車整備士と自動車検査員を、役割・必要な条件・職場での位置づけの3つで比べた図解
比べる面自動車整備士自動車検査員
役割点検・整備・修理をする指定工場で、整備した車が保安基準に合っているかを検査する
必要な条件国の技能検定(1級・2級・3級・特殊)に合格する整備主任者としての実務経験と、地方運輸局長が行う教習の修了など
根拠になる決まり道路運送車両法と自動車整備士技能検定規則道路運送車両法と指定自動車整備事業規則
職場での位置づけ認証工場の人数の決まりで、従業員の4分の1以上が必要指定工場の事業場ごとに選ばれる

役割の違い

整備士は、点検や分解整備などの作業そのものを受け持ちます。検査員は、その作業のあとに車が保安基準に合っているかを確かめる立場です。

例えば車検の場面で考えると、こんなイメージになります。

「ブレーキまわりの整備、終わりました。」
「では、検査の基準に合っているか確かめますね。」

必要な条件の違い

整備士は、技能検定に合格すれば資格を持てます。一方で検査員は、整備士の資格を持っているだけではなれず、整備主任者としての経験と教習が必要です。

つまり、検査員は整備士の資格の先にある役割と考えると分かりやすいですよ。

職場での位置づけの違い

分解整備を行う認証工場には、特定整備に従事する従業員が2人以上いて、そのうち1級か2級の整備士が少なくとも1人いることが求められます。さらに、整備士の数が従業員の4分の1以上という決まりもあります。

整備士は、こうした人数の決まりを満たすために欠かせない存在です。検査員は、その工場が指定工場として検査を行うために、事業場ごとに選ばれる存在だと言えますね。

自動車整備士
  • 国の技能検定に合格すると資格になる
  • 認証工場でも指定工場でも働ける
  • 級ごとにできる整備の幅が決まる
自動車検査員
  • 整備主任者の経験と教習の修了が必要
  • 指定工場で選ばれて検査を受け持つ
  • 整備した車の検査に責任を持つ

自動車検査員になるには?必要な条件と流れ

ここでの結論

検査員になるには、分解整備を行う工場の整備主任者として、2級なら1年以上、1級なら6か月以上の実務経験を積み、地方運輸局長が行う教習を修了することが必要です。

指定自動車整備事業規則では、検査員の条件がこう決められています。まず、分解整備を行う事業場の整備主任者として、1年以上(1級合格者は6か月以上)の実務経験があること。そのうえで、適切に業務を行っていて、自動車の検査に必要な知識と技能の教習を修了した人です。

ここでいう整備主任者は、二級シャシだけに合格している人を除きます。分解整備を行う工場の整備主任者は、1級か2級の整備士の中から選ばれる決まりです。

持っている資格整備主任者としての実務経験ほかの条件
1級6か月以上適切に業務を行っていたこと、地方運輸局長が行う教習の修了
2級(二級シャシだけの人を除く)1年以上同上
3級だけ分解整備の整備主任者になれないので、まず2級を目指す
自動車整備士から検査員になるまでの流れ
  1. 2級(ガソリンまたはジーゼルなど)に合格する
  2. 分解整備を行う工場で整備主任者を任される
  3. 整備主任者として1年以上(1級なら6か月以上)の経験を積む
  4. 地方運輸局長が行う教習を修了する
  5. 指定工場で検査員として選ばれる
自動車整備士が整備主任者の経験と教習を経て自動車検査員になるまでの流れの図解

2級の取り方は2級自動車整備士とは、1級の取り方は一級自動車整備士とはで紹介しています。

入り口になる「整備主任者」とは

検査員への道は、整備主任者を任されるところから始まります。整備主任者は、認証工場の事業場ごとに置かれ、特定整備と特定整備記録簿の記載をまとめて管理する人です。

ほかの事業場の整備主任者を兼ねることはできません。また、新しく届け出られた整備主任者などには、運輸監理部長や運輸支局長が行う研修を事業者が受けさせる決まりがあります。

『整備主任者ってベテランしかなれないの?』と思う方もいますよね。

法令で決まっているのは資格の条件なので、2級を持っていれば任される可能性はあります。誰を選ぶかは職場が決めるので、上司に相談してみてください。

令和11年4月1日からの変更点

国土交通省の令和7年7月8日の発表では、自動運転の車の検査に関わる条件が強くなります。令和11年4月1日から、自動運行装置を備える車の検査を行う検査員は、1級の自動車整備士の技能検定に合格している必要があります。

令和9年の資格の見直しとの関係

令和9年1月1日から、整備士の資格の種類が見直されます。検査員の条件は、新しい資格名とのみなしとは別に定められているので、受ける時期の条件は運輸支局で確かめてみてください。

検査員になると職場で何が変わる?

ここでの結論

検査員になると、指定工場で欠かせない人として頼られるようになります。ただ、手当や給料の扱いは会社ごとに違うので、求人票や就業規則で確かめておきましょう。

指定工場は、事業場ごとに検査員を選ばなければなりません。検査員を選んで検査させることは指定工場の条件そのものなので、職場の中で大事な役割になります。

一方で、検査員になって仕事が増えたのに、給料は変わらないという声もあります。資格手当や役職の扱いは、会社によって大きく違うのが現実なんです。

検査員を目指す前に職場で確かめること
  • 今の職場は指定工場か、認証工場か
  • 整備主任者を任される見込みがあるか
  • 教習を受ける時の休みや費用の扱い
  • 検査員になった時の手当や役職の決まり

今の職場の状況と次の一歩

検査員を目指せるかどうかは、今の職場の状況でも変わります。よくある状況ごとに、次の一歩を並べてみました。

今の状況次の一歩
3級を持って認証工場で働いている2級の受験資格を満たす日を数え、2級を目指す
2級を持っているが整備主任者ではない整備主任者を任される見込みを上司に聞いてみる
整備主任者を任されている経験の期間を数え、教習を受ける時期を相談する
認証工場で働いていて指定工場ではない検査員を目指すなら、指定工場への異動や転職も選択肢に入れる

今の職場で検査員を目指すのも一つの道です。指定工場で検査員を目指したい方や、検査員の経験をもっと評価してくれる職場を探したい方は、整備士の求人を比べてみると選択肢が広がりますよ。

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自動車整備士の検査員についてよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「検査員の資格を取ったのに給料が変わらない」

検査員になって仕事は増えたのに、給料が変わらないという相談です。検査員の手当を決めるのは会社なので、法令で決まった額があるわけではありません。

まずは就業規則や手当の決まりを確かめてみてください。そのうえで、検査員の経験を評価してくれる職場の求人と見比べてみると、自分の経験の扱われ方が見えてきます。

相談2「検査員と一級整備士、どちらが難しい?」

自動車検査員と一級整備士はどちらが難しいのか、という相談です。2つは成り立ちが違うので、単純に比べるのは難しいところです。

一級は国の試験に合格して取る資格で、検査員は整備主任者の経験と教習を経て選ばれる立場です。むしろ、1級を持っていると検査員の条件の経験期間が6か月以上に短くなるので、1級を取ってから検査員を目指す、という順番もあります。

相談3「令和9年から2級だけでは検査員になれなくなる?」

これまで検査員には2級が必要だったが、令和9年から2級だけではだめになるのか、という相談です。調べた範囲で確かめられたのは、令和11年4月1日から、自動運行装置を備える車の検査を行う検査員は1級が必要になるという変更です。

それ以外の車の検査について、新しい資格名でどう書かれるかは、受ける時期の条件を運輸支局で確かめてみてください。資格でできることの全体は自動車整備士の資格でできることで紹介しています。

相談4「2級と検査員を持って別の仕事に移った。もったいない?」

2級と検査員の経験があるのに、まったく別の仕事に移ったら周りにもったいないと言われた、という相談です。どの仕事を選ぶかは、本人の暮らしや考え方しだいで、どちらが正しいということはありません。

ただ、自動車整備士の技能検定に有効期限や更新の決まりは見当たりません。いつか整備の仕事に戻りたくなった時にも、合格した資格は手元に残ります。

よくある質問

自動車整備士と検査員の違いは何ですか?

整備士は点検・整備をする人で、国の技能検定に合格すると資格になります。検査員は指定工場で整備した車の検査を受け持つ人で、整備主任者の経験と教習の修了が必要です。

自動車整備士の検査員資格は何級から目指せますか?

分解整備を行う工場の整備主任者になれるのは1級か2級なので、2級から目指せます。二級シャシだけの人は除かれます。

検査員になるまでの経験はどれくらい必要ですか?

整備主任者として、2級なら1年以上、1級なら6か月以上の実務経験が必要です。

検査員になったあとに研修はありますか?

国土交通省の令和7年7月8日の発表では、自動車検査員研修をオンラインで行えるようになったことが挙げられています。研修の時期や中身は、運輸支局や勤め先で確かめてみてください。

認証工場でも検査員は必要ですか?

法令で検査員を選ぶ義務があるのは指定工場です。認証工場の人員の決まりは、整備士の人数と整備主任者です。

まとめ

この記事の要点
  • 自動車検査員は、指定工場で整備した車が保安基準に合っているかを検査する人
  • 整備士は国の技能検定の資格、検査員は条件を満たして指定工場で選ばれる立場
  • 条件は整備主任者として2級で1年以上・1級で6か月以上の経験と、教習の修了
  • 令和11年4月1日から、自動運行装置を備える車の検査は1級の検査員に限られる
  • 手当や給料の扱いは会社ごとに違うので、求人票や就業規則で確かめる
自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

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