自動車整備士の国家試験とは|登録試験との違い・学科と実技の内容

自動車整備士の試験の仕組みを紹介する記事のアイキャッチ。問題用紙と教科書が置かれた整備工場の机

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『自動車整備士の試験って国家試験なの?登録試験って何?』と、最初の一歩で戸惑う方は多いですよね。案内を読むほど、試験の名前が増えていくように感じるはずです。

結論から言うと、自動車整備士の試験は「国の技能検定」が本体で、ほとんどの人はJASPAの「登録試験」に合格して国の試験を免除してもらう流れなんです。

この記事を読めば、自分がどの試験をどの順番で受けるのか、学科と実技で何が問われるのかが分かります。

目次

自動車整備士の試験は「国家試験」と「登録試験」の2本立て

先に結論

資格を与えるのは国土交通大臣の技能検定(国家試験)です。JASPAの登録試験に合格すると、その種目の国の試験が合格後2年間免除されます。最後に国へ申請して、合格証書を受け取る形です。

国土交通省の案内では、整備士になるには受験資格を満たしたうえで、国土交通大臣の行う自動車整備士技能検定を受けて合格しなければならないとされています。これが「自動車整備士の国家試験」と呼ばれるものです。

一方で、試験会場で実際に問題を解くのは、多くの場合「自動車整備技能登録試験」です。実施しているのは、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(JASPA)なんです。

登録試験に受かると国の試験が免除される

国土交通省の案内では、登録試験に合格すると、合格した種目について技能検定の試験が合格後2年間免除されます。現在、国に登録されている登録試験の実施機関はJASPAだけです。

『じゃあ登録試験だけ受ければいいの?』と思いますよね。実は、登録試験で学科と実技の両方が免除になった人も、最後に国の技能検定を申請する必要があります。

試験の名前実施するところ役割
自動車整備士技能検定(国家試験)国土交通大臣資格を与える本体の検定
自動車整備技能登録試験JASPA合格すると国の学科・実技が2年間免除
全部免除者の技能検定国土交通大臣(運輸支局等へ申請)学科・実技が両方免除の人が随時申請

学科と実技の両方が免除される人の技能検定は、国土交通省の案内では随時受け付けています。手数料は、自動車整備士の種類1件につき2,450円です。

「両免」という言い方

学科と実技の両方が免除される人の申請を、職場や学校では「両免」「全免」と呼ぶことがあります。公式の言葉は「全部免除」です。手続きの流れは両免申請・全免申請の仕組みで詳しく紹介しています。

国が自分で試験をする種目もある

国も、一部の種目では自分で試験を行っています。国土交通省の実施計画では、令和8年度に国が試験を行うのは「二級自動車シャシ整備士」です。

令和7年度は自動車車体整備士(実技のみ)と自動車電気装置整備士でした。年度によって種目が変わるので、受けたい種目がどちらで実施されるかを最初に確かめておきましょう。

誰がどの試験を受ける?受ける人別の早見表

ここでの結論

専門学校などの一種養成施設を出た人は、実技が免除されるので「登録試験の学科」だけ受けます。働きながら講習に通った人も同じです。どちらでもない人は、学科と実技の両方を受けます。

試験の仕組みが分かっても、『結局、自分は何を受ければいいの?』が一番知りたいところですよね。そこで、受ける人のタイプ別に、どの試験が必要かを表にしてみました。

受ける人のタイプ別に、登録試験の学科・実技と国の申請のどれが必要かを示した図解
受ける人登録試験の学科登録試験の実技最後の国への申請
一種養成施設(専門学校・高校など)を修了して2年以内受ける免除全部免除で申請
二種養成施設(振興会の講習)を修了して2年以内受ける免除全部免除で申請
養成施設に通わず、職場の実務経験で受ける受ける受ける全部免除で申請
養成施設の修了から2年を過ぎた受ける受ける全部免除で申請

ポイントは、養成施設を修了すると、その課程の実技試験が修了後2年間免除される点です。国土交通省の「試験の免除について」と自動車整備士技能検定規則に書かれています。

登録試験の答案用紙にも、「一種養成施設」「二種養成施設」「その他」の記入区分があります。修了から2年を過ぎた人は「その他」になるんです。

働きながら受ける人のパターン

整備工場やガソリンスタンドで働きながら受ける場合、振興会の講習(二種養成施設)に通うかどうかで道が分かれます。

講習に通う場合
  • 修了すると実技試験が修了後2年間免除
  • 学科は登録試験で受ける
  • 講習を受ける期間と費用がかかる
講習に通わない場合
  • 学科と実技の両方を登録試験で受ける
  • 実技は同じ種類の学科に受かってから
  • 実技の練習は職場で工夫する

講習の流れは自動車整備士の講習、受験に必要な実務経験は受験資格と実務経験で確かめてみてください。

受験資格はおさえておこう

どの試験を受けるにしても、受験資格が必要です。令和7年7月8日の改正で実務経験の年数が短くなっているので、古い情報に注意しておきましょう。

級実務経験で受ける場合(現行)
三級15歳以降の実務経験6月以上
二級(ガソリン・ジーゼル・二輪)三級合格後2年以上
一級二級(二級シャシを除く)合格後3年以上

一種養成施設の課程を修了した人など、実務経験がいらない、または短くなる場合もあります。自分がどれに当たるかは、最寄りの自動車整備振興会に聞くのが確実です。

学科試験の試験内容:問題数・時間・合格基準

ここでの結論

学科は四つの選択肢から一つを選ぶマークシート式です。三級は30問60分、二級は40問80分、一級小型の筆記は50問100分です。合格点に加えて、分野ごとの最低ラインがある級もあります。

自動車整備士の試験内容で、まず気になるのが学科ですよね。JASPAの令和8年度の案内では、学科は四肢択一のマークシート方式で、HBの鉛筆で答えます。

試験出題数試験時間合格基準(直近の公表値)
一級小型(筆記)50問100分50点満点で40点以上、かつ5つの分野ごとに40%以上
二級ガソリン・ジーゼル・二輪40問80分40点満点で28点以上、かつ4つの分野ごとに40%以上
二級シャシ30問60分30点満点で21点以上、かつ3つの分野ごとに40%以上
三級(シャシ・ガソリン・ジーゼル・二輪)30問60分30点満点で21点以上
電気装置・車体40問80分40点満点で28点以上

合格基準は、毎回の合格発表の時にJASPAのホームページなどで公表される扱いです。上の表は直近に公表された値なので、受ける回の発表もあわせて見ておきましょう。

二級は「分野ごとの足切り」に注意

二級ガソリン・ジーゼル・二輪の学科は、40問が4つの分野に分かれています。JASPAの合格基準では、問題1〜15がエンジン、16〜30がシャシ、31〜35が整備機器等、36〜40が法規です。

合計で28点を取っていても、どれか1つの分野が40%に届かないと不合格になります。『得意なエンジンで稼げば大丈夫』とは言えないんです。

よくある失敗

法規は5問しかないので、後回しにしがちです。ただ、5問中2問を取れないと、それだけで不合格になります。少ない分野ほど、最低ラインを先に固めておきましょう。

学科で問われる科目

国土交通省の「試験の内容について」では、級ごとに学科の科目が決まっています。三級の場合は次のとおりです。

三級の学科の科目(国土交通省の表示)
  • 構造、機能及び取扱い法に関する初等知識
  • 点検、修理及び調整に関する初等知識
  • 整備用の試験機、計量器及び工具に関する初等知識
  • 材料及び燃料油脂に関する初等知識
  • 保安基準その他の自動車の整備に関する法規

二級になると「初等知識」が「一般知識」に変わり、図面に関する初等知識が加わります。一級では整備用機械や図面の知識まで広がります。

例えば、令和8年度第1回の三級ガソリン・エンジンでは、ピストン・リングや三元触媒、オルタネータ、電気回路の計算、総排気量の計算などが出ました。最後の3問は、前照灯の基準や自動車の高さの基準など法規の問題でした。

自動車整備士の実技試験は何をする?

ここでの結論

二級・三級の実技は3問30分、一級小型の実技は4問40分です。実技は、同じ種類の学科試験に合格した人だけが受けられます。養成施設の修了者は実技が免除されます。

『実技試験って、実際にエンジンを分解するの?』と気になる方もいますよね。自動車整備士の実技試験は、国土交通省の表示では、基本工作や点検・分解・組立て・調整、修理、試験機や工具の取扱いが科目です。

実技問題数・時間合格基準(直近の公表値)
二級(ガソリン・ジーゼル)3問30分30点満点で18点以上、かつ各問題の配点の40%以上
三級(ガソリン・エンジン、シャシ)3問30分30点満点で18点以上
一級小型4問40分40点満点で32点以上、かつ各問題の配点の40%以上

三級の実技の科目は「簡単な基本工作」「分解、組立て、簡単な点検及び調整」などで、二級になると「一般的な修理」が加わります。級が上がるほど、判断の深さが求められるイメージです。

第1回の実技は種目が年ごとに入れ替わる

登録試験の第1回の実技は、1月中旬の日曜に行われます。実施する種目は、年度によって交互に入れ替わっています。

年度第1回で実技を行った種目
令和4年度二級ガソリン・三級シャシ
令和5年度二級ジーゼル・三級ガソリン
令和6年度二級ガソリン・三級シャシ
令和7年度二級ジーゼル・三級ガソリン
令和8年度二級ガソリン・三級シャシ(令和9年1月17日)

養成施設に通わずに実技を受ける人は、自分の種目がその年度に実施されるかどうかを先に見ておきましょう。日程の細かい流れは試験日と合格発表の流れにまとめています。

実技の問題はどこで見られる?

JASPAの「過去の問題と解答」ページには、実技の問題と留意事項のPDFも回ごとに掲載されています。どんな作業を求められるのかは、実際の問題を見るのが一番の近道です。

『学科の過去問しかないと思っていた』という方も多いはずです。実技の問題も、一度は目を通しておいてくださいね。

一級は「筆記・口述・実技」の3段階

一級小型の試験は、ほかの級と比べて段階が多いんです。登録試験では、第2回の3月に筆記、5月中旬に口述、8月下旬に実技という流れです。

一級小型の試験が筆記・口述・実技の3段階で進み、最後に国へ申請する流れを示した図解
一級小型の試験の進み方
  1. 3月の筆記(50問100分)を受ける
  2. 筆記の合格者が5月の口述(2問10分)に進む
  3. 口述の合格者が8月の実技(4問40分)に進む
  4. 合格後、国へ全部免除で申請する

口述は2問10分の対話式です。口述試験は、令和9年1月1日施行の見直しで廃止されます。

国土交通省の出題方針では、口述の問題1は故障診断の問診、問題2は整備内容の説明です。問題1では、教科書に載っている基本的な事項を質問すれば故障箇所が絞り込めるように作られています。

国土交通省の学習のポイントでは、問診の基本として次の5つが挙げられています。

問診の基本5項目(国土交通省の学習のポイント)
  • どこがどのように悪いのか(不具合現象)
  • いつから悪いのか
  • どのような場所で悪いのか
  • どのような状態で悪いのか
  • 再現できたか

口述の合格基準は、直近の公表値で1問10点・20点満点で16点以上です。実施地は原則として札幌、宮城、新潟、東京、愛知、大阪、広島、香川、福岡です。

令和7年度第2回の一級小型の実技では、サーキット・テスタやオシロスコープを使い、電圧を測って不具合の箇所を特定する問題が4問出ました。エアコンやウォッシャ、エンジンECU系などが題材です。

一級の詳しい中身は1級小型自動車整備士とはで紹介しています。

令和9年1月1日から試験はどう変わる?

ここでの結論

令和9年1月1日から、整備士の種類は14種類から9種類に再編されます。三級・二級は「総合」と「二輪」に分かれ、一級の口述試験はなくなります。今持っている資格は、新しい資格に合格したものとみなされます。

『今から受けても、すぐに制度が変わるなら損をしない?』と心配な方もいますよね。実は、今の資格は新しい資格に合格したものとみなされる決まりになっているんです。

項目今の制度(令和8年12月31日まで)令和9年1月1日の施行後
種類一級小型・二級ガソリン・三級シャシなど14種類一級(総合)・二級(総合)・三級(総合)など9種類
一級の学科筆記と口述筆記のみ(口述は廃止)
今の資格の扱い旧資格のまま新しい資格に合格したものとみなす

JASPAの令和8年度第2回の案内では、令和9年3月14日の学科から、「二級自動車(総合)」「三級自動車(総合)」などの新しい区分の学科試験が始まります。旧区分の学科試験も並行して行われます。

実技は、「令和10年1月に2級(総合)・3級(総合)」「令和10年8月に1級(総合)」から始まる予定です。

講習の実技免除に注意

県の振興会の講習案内には、今の制度の講習を修了しても、新しい資格制度では実技免除が適用されないという注意書きがある例があります。講習に申し込む前に、どちらの制度の講習かを確かめておきましょう。

制度の見直しの全体像は資格制度の改正で詳しく紹介しています。

自動車整備士の試験についてよくある相談

ここでの結論

よくある悩みは「登録試験と国家試験の違い」「一部の種目だけ落ちた時」「マークミスの不安」です。どれも、仕組みを知っておくと落ち着いて次の手を打てます。

ここからは、自動車整備士の試験について、よく寄せられる相談を3つ取り上げます。

相談1:登録試験は国家試験とは違うの?

『登録試験に受かったのに、国家資格を取ったことになるの?』という相談です。

登録試験そのものは、国の技能検定ではありません。ただ、登録試験に合格すると国の学科や実技が免除されるので、その後に全部免除で国へ申請すれば、国家資格の合格証書を受け取れます。

申請は、合格から2年以内に行う必要があります。学校や職場がまとめて手続きしてくれる場合もあるので、まずは担当の先生や職場の先輩に聞いてみましょう。

例えば「全部免除の申請は、学校でまとめて出してもらえますか」と一言聞くだけで、やることがはっきりします。

相談2:二級ガソリンは受かったのに、二級ジーゼルだけ落ちた

二級のガソリンとジーゼルを同時に目指していて、片方だけ落ちてしまったという相談もよくあります。悔しいですよね。

登録試験の合格は種目ごとです。受かったガソリンは、合格後2年間、国の試験の免除に使えます。

ジーゼルは次の回で受け直せます。令和8年度は、第1回の学科(令和8年10月4日)にも第2回の学科(令和9年3月14日)にも二級ジーゼルがあります。

学科だけ受かって実技に落ちた時

国の技能検定では、学科に合格して実技に落ちた人は、実技試験の日から2年以内の同じ種類の学科試験が免除されます。何が免除されるかは種目と時期で変わるので、申請の前に振興会に確かめておきましょう。

相談3:受験番号をマークミスしたかもしれない

学科を受けたあと、受験番号のマークを間違えたかもしれないと不安になる相談です。氏名と手書きの受験番号は書いていても、気になって眠れないですよね。

試験が終わってからできることは多くありません。まずは結果の発表を待ち、気になる点は受験を申し込んだ自動車整備振興会に相談してみてください。

次の回に向けては、試験の最初と最後の2回、受験番号のマークを見直す習慣をつけておくと安心です。JASPAの過去問ページには答案用紙の見本も載っているので、事前に記入の練習ができます。

受かったあとの働き方も考えておこう

資格は、取ったあとにどこで活かすかで価値が変わります。働きながら上の級を目指すなら、講習の受講や実務経験の証明に協力的な職場かどうかも大切です。

自動車整備士の試験は、三級から二級、二級から一級と、合格後の実務経験を積みながら上がっていく仕組みです。一歩ずつ積み上がっていくのが、この資格の面白いところです!

どの職場で経験を積むかが、次の受験のしやすさにもつながるんです。

職場選びで確かめたいこと
  • 実務経験として認められる整備作業をしているか
  • 講習に通う日の勤務の調整ができるか
  • 実務経験の証明を出してもらえるか
  • 資格を取った後の手当や役割があるか

職場に相談する時は、「来年の三級を受けたいので、講習の日はお休みをもらえますか」「実務経験の証明をお願いできますか」と具体的に聞くと話が早いです。

今の職場で経験を積みながら受験を続けるのも、学校に通って一気に資格を取るのも、どちらも立派な道です。もし資格を活かせる職場や、働きながら資格を取りやすい職場を探したいなら、整備士の求人を比べてみると選択肢が広がりますよ。

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よくある質問

自動車整備士の試験は国家試験ですか?

はい。資格を与えるのは国土交通大臣の行う自動車整備士技能検定で、国家試験です。多くの人はJASPAの登録試験に合格して国の試験を免除してもらい、最後に国へ申請して合格証書を受け取ります。

自動車整備士の検定試験と登録試験は何が違いますか?

検定試験は国が行う技能検定で、登録試験はJASPAが行う試験です。登録試験に合格すると、その種目の国の試験が合格後2年間免除されます。

実技試験はいつでも受けられますか?

実技は、同じ種類の学科試験に合格した人が受けられます。登録試験の第1回の実技は1月中旬で、実施する種目は年度ごとに入れ替わります。

自動車整備士の試験内容は今後変わりますか?

令和9年1月1日に資格の種類が9種類に再編され、一級の口述試験はなくなります。令和9年3月14日の登録試験の学科から、新しい区分の試験が旧区分と並行して始まる予定です。

まとめ

この記事の要点
  • 自動車整備士の国家試験は、国土交通大臣の技能検定
  • JASPAの登録試験に受かると、国の試験が合格後2年間免除
  • 養成施設の修了者は実技が修了後2年間免除で、学科だけ受ける
  • 学科は四肢択一のマークシート、三級は30問60分
  • 一級小型は筆記・口述・実技の3段階
  • 令和9年1月1日から資格の種類が9種類に再編される

自動車整備士の全体像は自動車整備士とはでまとめています。

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自動車整備士ガイド 編集部

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