自動車整備士の仕事内容|点検・整備・車検で何をするのか

自動車整備士の仕事内容を紹介する記事のアイキャッチ。整備工場でリフトに上がった車を点検する手元

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『整備士って、毎日オイルまみれで車を直している人?』そんなイメージを持っている方も多いですよね。実際の自動車整備士の仕事内容は、それよりずっと幅が広いんです。

結論から言うと、整備士の仕事は「定期点検」「故障の修理」「車検」「お客さまへの説明」の4つに分けると、全体がつかめます。

この記事では、4つの仕事の中身と、職場によってどれが多くなるのかを表にしてお伝えしますね。

目次

自動車整備士はどんな仕事?まずは全体をひと言で

先に結論

自動車整備士は、車が安全に走れて、排出ガスや騒音で周りに迷惑をかけない状態を保つために、点検と整備をする仕事です。壊れた所を直すだけでなく、壊れる前に見つけて手を打つ仕事が中心になっています。

厚生労働省の職業情報サイト(job tag)の2021年時点の説明では、整備士の仕事は大きく2つに分けられていました。定期的に各部を点検して弱った所を整備する「定期点検整備」と、事故の破損や不具合を直す修理です。

同じ説明の中で、車の性能が上がって故障が減ったため、車検や定期点検などの予防整備が仕事の中心になっている、とも書かれています。『修理ばかりの仕事』というイメージとは、少し違うんですね。

点検する所はどこ?

job tag の説明では、点検する装置として、エンジン、操縦、制動、緩衝、動力伝達の各装置と、燃料や電気関係の部品が挙げられていました。言いかえると、走る・曲がる・止まるに関わる所ほぼ全部です。

装置身近な言い方点検で見ることの例
エンジン(原動機)車を動かす心臓部分異音、オイルや冷却水のもれ、かかり具合
操縦装置ハンドルまわりハンドルのがたつき、まっすぐ走るか
制動装置ブレーキブレーキの効き、パッドやホースの状態
緩衝装置サスペンションばねやショックの傷み、車の傾き
動力伝達装置クラッチ・変速機など変速の滑らかさ、異音、油もれ
電気関係バッテリー・ライト・配線電圧、ランプ切れ、配線の傷み

点検で傷んだ部品を見つけたら、装置を取り外して分解し、部品を交換したり修理したりします。この「見つける」と「直す」がセットになっているのが、整備の仕事の基本です。

公的な分類ではどう書かれている?

厚生労働省編職業分類では、整備士の仕事は「自動車整備・修理工」という分類に入っています。定義では、エンジンやブレーキ、電装品の点検と、傷んだ部品の交換や修理をする仕事とされています。

この分類の例には「車検係(民間車検場、整備工場)」や「バス修理工」「トラック修理工」も入っています。乗用車だけでなく、バスやトラックを整備する人も同じ仲間なんです。

仕事を4つに分けると見えること

ここでの結論

自動車整備士の仕事内容を一覧にすると「定期点検」「故障の修理」「車検」「お客さまへの説明」の4つになります。どの職場でも4つとも出てきますが、どれが多いかは職場でかなり違います。

『結局、自動車整備士って何する仕事なの?』と聞かれたら、この4つで答えるのが一番分かりやすいと思います。それぞれの中身を表にしてみました。

自動車整備士の仕事を定期点検・故障の修理・車検・お客さまへの説明の4つに分けた図解
仕事中身よくある場面
定期点検決まった時期に車の各部を点検し、傷んだ所を整備する決まった時期の点検、オイル交換と合わせた点検
故障の修理不調の原因を探し、部品を交換・修理する「変な音がする」「警告灯がついた」
車検車検に向けた点検と整備、検査の準備車検の時期の入庫
お客さまへの説明車の状態、必要な整備、費用の見込みを伝える見積もりの説明、車の引き渡し

定期点検

定期点検は、整備士の仕事の土台です。道路運送車両法では、車の使用者が自分で点検し、必要な整備をして、車を基準に合った状態に保つ義務があると決められています。

ただ、多くの人は自分で点検できませんよね。そこで整備工場に点検を頼み、整備士が代わりに見る形になるんです。

故障の修理

故障の修理は、原因を探すところから始まります。音や振動、警告灯、お客さまの話を手がかりに、どこが悪いのかを絞っていきます。

例えば「ブレーキを踏むとキーキー鳴る」と言われたら、パッドの減り、ローターの傷、部品のゆるみなどを順番に確かめます。原因が分かってから、交換か修理かを決めます。

車検

車検の時期には、点検する項目が多くなり、作業の量も増えます。点検で見つかった傷みを整備し、検査に通る状態に整えるのが整備士の役目です。

車検の入庫から引き渡しまで、整備士がどう動くかを順番に並べるとこうなります。工場によって細かい段取りは違いますが、大きな流れは似ています。

車検の時の整備士の動き
  1. 車を受け取り、お客さまから気になる所を聞く
  2. 各部を点検し、傷んだ所を書き出す
  3. 必要な整備と見積もりをお客さまに説明する
  4. 了解をもらった所を整備し、記録を残す
  5. 検査に通る状態かを確かめて引き渡す

『車検って、検査するだけじゃないの?』と思われがちですが、点検と整備のほうが時間を使うことも多いんです。

指定工場では、工場の中に検査の設備があり、自動車検査員が検査をします。検査員の仕事は自動車検査員とはで詳しく紹介しています。

お客さまへの説明

意外と見落とされがちなのが、お客さまへの説明です。『整備士って人と話さない仕事でしょ?』と思っている方も多いのですが、実はそうでもないんです。

「ブレーキパッドが残り少ないので、次の点検までに交換をおすすめします」のように、車の状態を分かりやすく伝えることも大事な仕事です。

職場によって仕事の比重はこんなに違う

ここでの結論

同じ自動車整備士でも、ディーラー、街の整備工場、ガソリンスタンドやカー用品店では、4つの仕事の比重が変わります。求人を見る時は、どの仕事が多い職場かを先に想像しておくと、入ってからのずれが減ります。

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。下の表は、一般的な傾向をこの記事の目安としてまとめたものです。実際の比重は、会社や店舗によって違います。

職場定期点検故障の修理車検お客さまへの説明
メーカー系のディーラー多いふつう多い多い
街の整備工場(専業・兼業)多い多い多いふつう
ガソリンスタンド・カー用品店ふつう少なめ店による多い
バス・トラックの会社の整備部門多い多い多い少なめ
ロードサービス少なめ多い(その場の応急)少ない多い
職場ごとに4つの仕事の比重がどう変わるかを並べた図解

ディーラーの整備士

メーカー系のディーラーでは、自社のメーカーの車を中心に整備します。新しい車種や電子制御の多い車に触れる機会が多いのが特徴です。

点検や車検で来店したお客さまに、整備の内容を説明する場面もよくあります。ディーラーと街の工場の違いはディーラーと整備工場の自動車整備士の違いで比べています。

街の整備工場の整備士

街の整備工場では、いろいろなメーカーの車や、年式の古い車を受け持つことがあります。『この車、どこが悪いんだろう』と原因を探す修理の経験を積みやすい職場です。

工場によっては、板金や塗装、タイヤの作業を一緒に受けているところもあります。

バス・トラックの会社の整備士

バス会社や運送会社の中にも、自社の車を整備する部門があります。職業分類の例に「車検係(バス会社)」があるように、車検に向けた点検と整備を受け持つ人もいます。

お客さまへの説明より、運行の予定に合わせて点検を回していく仕事が中心になりやすいです。

ガソリンスタンド・カー用品店の整備士

ガソリンスタンドやカー用品店では、オイルやタイヤ、バッテリーの交換など、短い時間で終わる作業が多くなりがちです。店によっては車検や点検を受け付けているところもあります。

お客さまと直接話す時間が長いので、説明や提案が好きな人には合いやすい職場です。

補足

国土交通省の通達では、オイルやタイヤ、ワイパーなどの交換作業だけの経験は、資格の受験に必要な実務経験として認められないとされています。資格を目指すなら、分解整備や点検・調整の経験を積める職場かを求人票で確かめておきましょう。

最近増えている「電子制御」の仕事

ここでの結論

今の自動車整備士の仕事は、機械をばらして直すだけではありません。自動ブレーキのカメラやレーダーの調整、ハイブリッド車や電気自動車の整備など、電子や電気の知識が必要な仕事が増えています。

『最近の整備って、パソコンをつなぐだけなの?』という声もありますよね。実は、機械の作業と電子の作業の両方が必要になっている、というのが正しいところです。

エンジンルームに診断機をつないで不具合を調べる整備の手元の写真

例えば警告灯がついた車なら、まず診断機で記録されている不具合の内容を読みます。そのうえで、怪しいセンサーや配線を手で確かめていく、という流れです。

特定整備という考え方

国土交通省は、令和2年4月から「特定整備」という制度を始めました。従来の分解整備に、自動ブレーキなどの前方を見るカメラやレーダーの調整が「電子制御装置整備」として加わったものです。

カメラやレーダーの向きを合わせる作業はエーミングと呼ばれます。窓ガラスやバンパーの脱着にも関わるので、事故の修理の場面でもよく出てくる仕事です。

作業の種類主な中身必要なもの
分解整備エンジンの取り外し、ブレーキやかじ取り装置の分解など工場の認証(分解整備)
電子制御装置整備カメラ・レーダーの取り外しや調整(エーミング)など工場の認証(電子制御装置整備)

電気で走る車の整備

ハイブリッド車や電気自動車には、高い電圧のバッテリーが積まれています。厚生労働省の労働安全衛生規則では、対地電圧が50ボルトを超える蓄電池を積んだ車の整備は、特別教育が必要な業務とされています。

電気の仕事が気になる方は、電気自動車と自動車整備士もあわせて読んでみてください。

電子制御の時代に身につけたいこと
  • 故障診断機の画面の読み方を覚える
  • 配線図を見て電気の流れを追えるようにする
  • 高い電圧を扱う作業の安全手順を守る
  • カメラやレーダーの調整の流れを知る

資格の制度も新しくなる

令和9年1月1日から、自動車整備士の資格は「一級・二級・三級の総合と二輪」などに再編されます。電子制御の内容を含む資格が設けられるのが大きな点です。

仕事の中身の変化に、資格の中身も合わせていく流れなんですね。

よくある相談:仕事内容について聞かれること

ここでの結論

知恵袋などでよく見かけるのは「整備士は主に何をしているの?」「ディーラーの仕事とどう違うの?」「機械じゃなくてコンピューターを触るだけ?」という相談です。どれも、職場と仕事の比重を分けて考えると答えやすくなります。

相談1:整備士は主にどんなことをしているの?ディーラーではどう?

答え:中心は点検と車検、そして見つかった傷みの整備です。ディーラーでは、自社のメーカーの車の点検や車検、その説明が多くなります。

修理の仕事もありますが、故障が減っている今は、壊れる前に見つける仕事の割合が大きくなっています。

相談2:「ディーラー」と「整備士」の仕事内容の違いは?

答え:ディーラーは車を売る会社の名前で、整備士はそこで働く職種のひとつです。ディーラーには、車を売る営業の人と、整備をする整備士がいます。

『ディーラーに入ったら営業もするの?』と心配する方もいますが、配属される部署によって仕事は違います。求人票の職種欄で「整備」か「営業」かを確かめてみてください。

相談3:コンピューターをいじるだけ?機械を触るの?

答え:両方です。診断機をつないで不具合の記録を読むことは増えましたが、原因が分かった後に部品を外して交換するのは手作業です。

「警告灯がついた」と持ち込まれた車でも、最後はセンサーや配線、部品そのものを確かめる場面が多いんです。

補足

別業種から転職を考えている方からの相談も多く見かけます。仕事内容が自分に合うかを確かめたい時は、工場の見学や仕事体験を受け付けている職場がないか、求人票や会社の案内を見てみましょう。

資格と仕事内容の関係

ここでの結論

整備の仕事そのものは、入社してから資格を取りながら覚える人も多いです。ただ、工場が分解整備をするには、決まった数の資格者がいることが条件になっています。

job tag の説明では、入職してから実務経験を積み、そのあと資格を取る場合もあると書かれていました。運転免許は求められることが多い、ともあります。

一方で、分解整備をする認証工場には、一級か二級の整備士が少なくとも1人いて、整備士の数が従業員の4分の1以上いることが求められます。資格を持つ人がいるから、工場として整備の仕事を受けられるんですね。

立場主に任される仕事次に目指す所
資格を持っていない人資格者の指示での作業、洗車、部品の準備など三級の受験に向けた実務経験
三級整備士基本的な点検・整備二級の受験
二級整備士一般的な整備、整備主任者一級や検査員
一級整備士高度な整備、診断、指導検査員、工場の中心役

資格ごとにできることの違いは自動車整備士の資格でできることで、無資格の人の働き方は資格がなくても働ける?でまとめています。

よくある失敗

「整備士として採用」と書かれていても、実際は洗車や受付の仕事が中心という職場もあります。入社前に、どんな作業をどのくらい任されるかを面接で聞いておくと安心です。

自動車整備士の仕事が向いている人・働く環境

ここでの結論

車が好きな人はもちろん、原因を順番に探すのが好きな人、人に説明するのが苦にならない人にも向いている仕事です。作業場の環境や休みの形も、仕事内容と一緒に知っておきましょう。

仕事の中で生きる力

『手先が器用じゃないと無理かな』と不安になる方もいますよね。手先の器用さは、毎日の作業でだんだん身についていくものです。

それよりも、決まった手順を守ること、分からない時に先輩や資料に確かめることのほうが大事です。

こんな人は仕事の中で力を発揮しやすい
  • 不具合の原因を順番に探すのが好き
  • 手順を守ってていねいに作業できる
  • 新しい技術を覚えることに抵抗がない
  • お客さまに分かりやすく説明できる

作業場の環境と休み

job tag の説明では、作業場は外の空気が入る場所で、騒音や振動、油の汚れがあるとされていました。夏の暑さや冬の寒さへの備えも、服装や職場の設備で変わってきます。

日曜や祝日に営業する職場も多く、休みは交替制の週休二日という会社もよくあります。一日の流れや休みの取り方は自動車整備士の一日の流れで詳しく紹介しています。

やりがいを感じる場面

「直してくれてありがとう」と言われた時や、難しい故障の原因を突き止めた時に、やりがいを感じる人が多い仕事です。やりがいについては自動車整備士のやりがいと魅力でもまとめています。

国土交通省は、整備士が働きやすい職場づくりのためのガイドラインを令和7年6月に改訂しています。資格手当や勤務シフトの工夫など、職場ごとの取り組みにも目を向けてみてください。

仕事内容が分かってきたら、次は「どの職場で、どの仕事を多くやりたいか」を考える番です。今の職場で経験を積む道もありますし、学校で学んでから就職する道もあります。

点検中心か修理中心か、説明の多い職場か。自分に合う仕事の比重で職場を選びたい方は、整備士の求人を比べてみると選択肢が広がりますよ。

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よくある質問

自動車整備士の仕事内容を一覧で言うと?

定期点検、故障の修理、車検、お客さまへの説明の4つです。最近はカメラやレーダーの調整、電気で走る車の整備など、電子や電気の仕事も増えています。

自動車整備士はなにする仕事か、ひと言で言うと?

車が安全に走れる状態を保つために、点検して、傷んだ所を見つけて整備する仕事です。車検や修理のほか、お客さまに車の状態を説明することも含まれます。

自動車整備士は資格がないと仕事ができませんか?

入社してから実務経験を積み、そのあと資格を取る人もいます。ただ、工場には決まった数の資格者が必要なので、資格を取ると任される仕事が広がります。

ディーラーと整備工場で仕事内容は違いますか?

4つの仕事はどちらにもありますが、比重が違います。ディーラーは自社メーカーの車の点検や車検、説明が多く、街の工場は修理の幅が広くなりやすいです。

整備士はパソコンの作業ばかりになっていますか?

診断機を使う場面は増えていますが、部品を外して交換する手作業は今も中心です。機械と電子の両方を扱う仕事だと考えておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 自動車整備士の仕事は、安全と環境のために車を点検・整備すること
  • 仕事は定期点検・故障の修理・車検・お客さまへの説明の4つに分けられる
  • 職場によって4つの比重が違うので、求人を見る前に想像しておく
  • カメラやレーダーの調整、電気で走る車の整備など電子の仕事が増えている
  • 資格を取るほど任される仕事が広がる

自動車整備士の全体像は自動車整備士とは?でまとめています。

自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

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