自動車整備士の給料が安いと言われる理由|上げるためにできること

自動車整備士の給料が安いと言われる理由と給料の上げ方を紹介する記事のアイキャッチ。整備工場のエンジンルームと工具

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「整備士は給料が安い」という話を聞いて、『国家資格なのに、どうして?』とモヤモヤしている方も多いはずです。今まさに整備士として働いていて、明細を見てため息をついている方もいるかもしれません。

結論から言うと、自動車整備士の給料が安いと言われるのは、職場の規模や業態による差が大きく、低い側の声が目立ちやすいからです。そして、その差の中には自分で動かせる部分もあります。

この記事を読めば、給料が安いと言われる理由と、給料を上げるために今からできることが分かります。

目次

自動車整備士の給料は本当に安い?

先に結論

賃金構造基本統計調査の「自動車整備・修理従事者」では、令和7年の年収の目安は約503.8万円です。一方、業界団体の調査では、専業・兼業の整備工場の平均年収は401万5,200円でした。「安い」と感じるかどうかは、どの職場で働くかで大きく変わります。

『自動車整備士の年収は低いって本当?』と気になりますよね。まずは、公的な数字で確かめてみます。

調査対象数字
令和7年賃金構造基本統計調査10人以上の事業所の「自動車整備・修理従事者」年収の目安 約503.8万円(ノート記載の計算方法による目安)
JASPA 令和7年度 実態調査整備要員全体(自家を除く)平均年収 442万8,900円
同上ディーラー平均年収 535万1,200円
同上専業・兼業の整備工場平均年収 401万5,200円

賃金構造基本統計調査の年収は、毎月決まって支給される額(33万9,500円)の12か月分に、年間賞与(96万4,000円)を足して出した目安です。国がこの年収の値を公表しているわけではありません。

JASPAは日本自動車整備振興会連合会のことで、全国の整備事業場を調べた数字です。2つの調査は対象が違うので、目安の幅として見てください。くわしくは自動車整備士の年収・給料で紹介しています。

「安い」という声はどこから来る?

同じ整備士でも、ディーラーと専業・兼業の整備工場では、平均年収に大きな開きがあります。低い側の職場で働く人の声が「整備士は薄給」という印象につながっている面がありそうです。

また、整備士の仕事は国家資格が必要で、体も使い、責任も重い仕事です。『この大変さなら、もっともらえていいはず』と感じる気持ちも、「安い」という声の背景にあるのでしょう。

自動車整備士はなぜ給料安いと言われる?

ここでの結論

よく挙がる理由は、小さな工場が多く賞与の差が大きいこと、整備の料金に人件費を反映しにくいこと、若いうちは平均より低めから始まること、資格や役割が給料に見えにくい職場があることの4つです。

『自動車整備士の給料が安いのはなぜ?』という疑問に、公表値で裏づけられる所を中心に答えてみますね。

よく挙がる理由公表値から分かること
小さな職場が多く、賞与の差が大きい令和7年の年間賞与は、1,000人以上で120万5,800円、10〜99人で70万8,400円
整備の料金に人件費を反映しにくい国土交通省のガイドラインは「労務費等の適正な価格転嫁」による賃金の確保を取組例に挙げている
若いうちは平均より低めから始まる平均年齢は賃金構造基本統計調査で40.6歳、JASPAの整備要員で47.7歳
資格や役割が給料に見えにくいガイドラインは「整備士資格手当や役職手当の支給」を取組例に挙げている

理由1:職場の規模で賞与が大きく変わる

賃金構造基本統計調査を企業の規模ごとに見ると、毎月の給与より賞与の差が目立ちます。

企業規模(令和7年)きまって支給する現金給与額年間賞与
1,000人以上36万1,800円120万5,800円
100〜999人33万4,800円96万6,800円
10〜99人32万3,800円70万8,400円

JASPAの調査では、全国の認証工場(事業場)は92,251か所あります(令和7年6月30日時点)。地域に根づいた小さな工場も多く、どの規模の職場で働くかで、年収の見え方が変わってくるんです。

理由2:整備の料金に人件費を反映しにくい

国土交通省の「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」(令和7年6月の改訂版)には、「労務費等の適正な価格転嫁などにより、若年層を含む整備要員に支払う賃金を確保」という取組例があります。

裏を返せば、整備の料金に人件費をきちんと反映させることが、業界の課題として意識されているということです。

理由3:若いうちは平均より低めから始まる

平均年収は、経験を積んだ40代の人も含めた数字です。入社したばかりの頃は、平均より低い給料から始まるのが一般的です。

国土交通省が高校を訪問した結果の資料には、「初任給が20万円を超えないと求人票を見てもらえない」という声も載っています。初任給の低さが、整備士の給料全体のイメージにつながっている面もありそうです。

理由4:資格や役割が給料に見えにくい

国家資格を取っても、資格手当が少なかったり、役職の道が見えにくかったりする職場もあります。『資格を取ったのに、給料が変わらない』という不満は、ここから生まれやすいんです。

例えば、職場でこんな会話になることもあります。

「2級を取ったので、手当はどうなりますか?」「うちは資格手当がなくて、基本給の見直しの時に考えるよ」

こうした職場では、資格の効き目が給料明細から見えにくくなります。給与規程に手当の決まりがあるかを、一度確かめておきたいところです。

よくある思い込み

「整備士はどこで働いても給料が安い」と決めつけてしまうことです。公表値を見ると、業態や規模でかなり差があります。全体の印象ではなく、自分が働く職場の条件で考えてみましょう。

給料を左右する3つ:動かせる所と動かせない所

ここでの結論

給料を左右するのは「職場の種類」「資格と役割」「地域」の3つです。地域の相場は自分では変えにくいですが、職場の種類と資格・役割は、自分の行動で動かせる部分があります。

『給料が安いのは分かったけど、自分には何ができるの?』という方も多いはずです。そこで、給料を左右する物を3つに分け、自分で動かせるかどうかで分けてみました。

自動車整備士の給料を左右する職場の種類・資格と役割・地域を、自分で動かせる所と動かせない所に分けた図解
給料を左右する物自分で動かせない所自分で動かせる所
職場の種類今の職場の規模や業態、賞与の仕組みどの業態・規模の職場で働くかを選ぶ
資格と役割職場の資格手当の額、役職の数上の級を取る、整備主任者や検査員を目指す
地域その地域の賃金の相場通える範囲の求人を広く比べる

職場の種類:一番大きく効くところ

JASPAの調査では、ディーラーの平均年収は535万1,200円、専業・兼業の整備工場は401万5,200円でした。どの業態で働くかは、給料に大きく効きます。

ただ、職場ごとに仕事の中身や休み、扱う車も違います。給料だけでなく、働き方全体で比べてみてください。職場ごとの違いはディーラーと整備工場の自動車整備士の違いで詳しく比べています。

資格と役割:今の職場でも動かせるところ

上の級を取ったり、整備主任者や検査員を目指したりすることは、今の職場にいながらでも進められます。資格手当や役職手当がある職場なら、そのまま給料に表れます。

級と年収の関係は自動車整備士の級と年収で、資格手当・任される仕事・役職の3つに分けて紹介しています。

地域:相場は変えにくいが、比べる範囲は広げられる

地域の賃金の相場そのものは、自分では変えられません。ただ、整備士を探している職場は多いので、通える範囲で比べる求人を増やすことはできます。

特定技能の運用方針では、令和4年度の自動車整備分野の有効求人倍率は全国で4.72倍でした。地域の例として、愛知県5.19倍、埼玉県4.87倍、島根県8.29倍、福井県8.50倍と示されています。

動かせない所に悩みすぎない

地域の相場や会社の規模は、一人の力ではなかなか変えられません。だからこそ、動かせる2つ(職場選びと資格・役割)に力を使うほうが、給料を上げる近道になります。

待遇改善・賃上げは進んでいる?

ここでの結論

JASPAの調査では、整備要員の平均年収は令和2年度から令和7年度まで毎年上がっています。国土交通省も、職場づくりのガイドラインの改訂や高校訪問などで、整備士の待遇改善と人材確保に取り組んでいます。

『自動車整備士の賃上げって、本当に進んでいるの?』と疑問に思う方もいますよね。業界の平均年収の推移を見てみます。

調査年度(JASPA)整備要員の平均年収(自家を除く)
令和2年度396万3,000円
令和4年度404万3,800円
令和6年度425万7,900円
令和7年度442万8,900円

令和7年度は前年度から17万1,000円、4.0%増えました。専業・兼業の整備工場の平均年収も、この調査で初めて400万円を超えています。

なお、賃金構造基本統計調査の年収の目安は、令和6年の約513.1万円から令和7年の約503.8万円へと少し下がっています。調査によって動きが違うので、1年の数字だけで判断しないのが大切です。

国の取組:自動車整備士の待遇を良くするために

国土交通省は、整備士の人手不足への対応として、いくつかの取組を進めています。

時期取組
令和4年5月人材確保のワーキンググループで検討を開始
令和6年3月「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」を策定
令和7年6月ガイドラインの改訂版を公表
令和7年度運輸支局長等による高等学校訪問を560校で実施

ガイドラインは、「働き方・労働条件」「人間関係・コミュニケーション」「人材開発」「待遇」の4つの要素でできています。取組例には、資格手当や役職手当の支給、勤務シフトの柔軟化などが挙がっています。

国土交通省の資料では、自動車整備要員の有効求人倍率は令和5年度に4.99倍でした。整備士を求める職場が多いことも、待遇の見直しを後押ししていると言えそうです。

給料を上げるためにできること

ここでの結論

給料を上げる順番は、まず今の明細を分解して相場と比べ、次に今の職場で資格と役割を広げ、それでも見合わない時に職場を比べる、の3段階です。いきなり辞めるより、比べる材料をそろえてから動くのが安心です。

『給料が安いなら、転職するしかないの?』と考えがちですよね。ただ、今の職場で上げられる余地があるかを先に確かめておくと、後悔しにくくなります。

自動車整備士が給料を上げるために、明細の分解・資格と役割・職場の比較の順に進める流れの図解
給料を上げるための3段階
  1. 給与明細を基本給・資格手当・残業代・賞与に分けて書き出す
  2. 公表値の平均や、同じ業態の平均と比べる
  3. 上の級や整備主任者・検査員など、次に目指す役割を決める
  4. 資格手当と昇給の条件を上司に確かめる
  5. 今の職場で見込みが立たない時は、他の職場の条件を比べる

給料は「時間あたり」でも見てみる

月給だけを比べると、残業の多い職場ほど高く見えることがあります。給料が安いかどうかは、働いた時間とセットで考えるのがおすすめです。

項目(賃金構造基本統計調査)令和6年令和7年
所定内実労働時間数(月)166時間166時間
超過実労働時間数(月)18時間15時間
きまって支給する現金給与額34万8,500円33万9,500円

令和7年は、毎月の給与が少し下がった一方で、残業などの時間も月18時間から15時間に減っています。給与の動きは、働く時間の変化とあわせて読むと見え方が変わるんです。

求人を比べる時も、月給の額だけでなく、残業の平均時間や年間休日を並べてみてください。『月給は高いけれど、毎日遅くまで残業』という職場もあれば、『月給はほどほどでも、休みがしっかり取れる』職場もあります。

今の職場で上司に聞いてみること

給料の話は切り出しにくいものです。それでも、資格や役割の話から入ると聞きやすくなりますよ。

例えば、こんな聞き方があります。

「1級を取ったら、資格手当はいくら増えますか?」「検査員を目指したいのですが、どのくらいの経験が必要ですか?」

答えがはっきりしていれば、今の職場で給料を上げる道が見えてきます。

他の職場と比べる時のチェック

求人を比べる時に確かめること
  • 基本給と資格手当が分けて書かれているか
  • 賞与の支給実績が何か月分か
  • 資格取得の支援(講習の費用・受講日の配慮)があるか
  • 整備主任者や検査員になれる道があるか
  • 年間休日と残業の時間が、今の職場と比べてどうか

今の職場で資格を取り、役割を広げていくのは立派な選択です。一方で、資格を活かして正当に評価してくれる職場を探したい方は、整備士の求人を比べてみると選択肢が広がりますよ。

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給料が安いと感じた時の、よくある相談

ここでの結論

知恵袋では「なぜ給料が安いのか」「大手企業でも安いのか」「工具代で給料がなくなるのか」という相談が多く読まれています。どれも、職場ごとの差を知り、確かめる所を押さえると見通しが立ちます。

知恵袋で多く読まれている相談を、要約して答えてみますね。

相談1:楽な仕事でもないのに、なぜ給料が安い?

「整備士は楽な仕事ではなく、好きでないと続かないと聞く。それなのになぜ給料が安いのか」という相談です。

大変さと給料が見合っていないと感じる気持ちは、とても自然です。ただ、公表値を見ると、職場の規模や業態で平均年収に大きな差があります。

国も、価格転嫁による賃金の確保や資格手当の支給を取組例に挙げていて、業界の平均年収は毎年上がっています。整備士全体が一律に安いのではなく、職場によって差が大きい仕事だと考えてみてください。

相談2:大手企業の整備士でも給料は安いの?

「整備士は給料が安いと聞くが、大手企業でも安いのか」という相談です。

賃金構造基本統計調査では、1,000人以上の企業の年間賞与は120万5,800円で、10〜99人の70万8,400円を大きく上回っています。JASPAの調査でも、ディーラーの平均年収は535万1,200円でした。

自動車整備士として大手企業で働くと、平均では給料が高めになる傾向があります。ただ、同じ会社でも年齢や役割で差があるので、求人票のモデル年収で確かめてみてください。

相談3:工具代で給料がなくなるって本当?

「整備士は給料も安く、仕事もきつく、工具代で給料がなくなってしまうと聞いた」という相談です。

工具を会社がそろえるか、自分で買うかは職場によって違います。工具の補助や支給があるかは、求人票や面接で確かめておくと安心です。

『入ってから全部自分で買うことになったら…』と不安な方は、面接で「工具は支給されますか?自分で買う物はありますか?」と聞いてみてください。工具のそろえ方は自動車整備士の工具で紹介しています。

「きつい」と感じた時は

給料だけでなく、仕事のきつさで悩んでいる方もいますよね。大変な所と長く続ける工夫は自動車整備士がきついと言われる理由で紹介しています。

よくある質問

自動車整備士の給料はなぜ安いと言われるのですか?

小さな職場が多く賞与の差が大きいこと、整備の料金に人件費を反映しにくいこと、若いうちは平均より低めから始まることなどが理由として挙がります。公表値では業態や規模で差が大きく、職場によっては平均年収が500万円を超えています。

自動車整備士の年収は低いのですか?

令和7年賃金構造基本統計調査の年収の目安は約503.8万円、JASPAの令和7年度調査の整備要員の平均年収は442万8,900円です。専業・兼業の整備工場では401万5,200円、ディーラーでは535万1,200円でした。

自動車整備士の賃上げは進んでいますか?

JASPAの調査では、整備要員の平均年収(自家を除く)は令和2年度の396万3,000円から令和7年度の442万8,900円まで毎年上がっています。

自動車整備士の待遇改善のために、国は何をしていますか?

国土交通省は、職場づくりのガイドラインを令和6年3月に策定し、令和7年6月に改訂版を公表しました。資格手当や役職手当の支給、勤務シフトの柔軟化などが取組例に挙がっています。

給料が安いと感じたら、すぐ転職したほうがいいですか?

まずは給与明細を分解して相場と比べ、今の職場で資格手当や役割を広げられるかを確かめるのがおすすめです。それでも見込みが立たない時に、他の職場の条件を比べると後悔しにくくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 令和7年の年収の目安は約503.8万円、JASPAの平均は442万8,900円
  • 業態や規模で差が大きく、低い側の声が「給料が安い」印象につながっている
  • 給料を左右するのは職場の種類・資格と役割・地域の3つ
  • 職場選びと資格・役割は、自分で動かせる部分
  • 業界の平均年収は令和2年度から毎年上がっている
自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

自動車整備士の資格の種類・受験資格・試験の日程と勉強法から、専門学校や働きながら資格を取る道、仕事内容・年収・求人の選び方までを、整備士を目指す人と働く人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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