自動車整備士の転職|整備士として職場を変える時の進め方

自動車整備士の転職の進め方を紹介する記事のアイキャッチ。夕方の整備工場の作業台

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『今の職場、このままでいいのかな』『整備士は続けたいけど、職場は変えたい』と考えている方も多いはずです。毎日忙しいと、転職について落ち着いて考える時間もなかなか取れませんよね。

結論から言うと、自動車整備士の転職は「なぜ変えたいのか」を4つの動機に分けてから、職場の種類を選ぶとうまくいきやすくなります。整備士の求人は多いので、動機さえはっきりすれば選択肢はたくさんあります。

この記事を読めば、自分の動機に合う職場の種類と、転職の進め方が分かります。

目次

自動車整備士の転職は、まず動機を4つに分ける

先に結論

転職したい理由を「給料」「休み」「仕事の中身」「資格を活かす」の4つに分けると、向いている職場の種類が見えてきます。動機があいまいなまま転職すると、次の職場でも同じ悩みが出やすくなります。

『とにかく今の職場から離れたい』という気持ち、よく分かります。ただ、その気持ちの中身を分けてみると、次に選ぶべき職場がはっきりするんです。

自動車整備士の転職の動機を給料・休み・仕事の中身・資格を活かすの4つに分けた図解
動機よくある気持ち求人で見たいこと
給料頑張っても給料が上がらない資格手当・賞与・昇給の考え方
休み休みが少ない・休みの曜日が合わない年間休日・休みの曜日・残業
仕事の中身同じ作業ばかり・新しい技術に触れたい扱う車・作業の範囲・研修
資格を活かす取った資格が評価されない検査員や整備主任者への道・資格手当

給料が動機の人:会社の規模で賞与が変わる

給料を上げたい方は、月給だけでなく賞与も見てみてください。令和7年賃金構造基本統計調査の「自動車整備・修理従事者」では、企業の規模によって次のような差があります。

企業規模きまって支給する現金給与額(月)年間賞与その他特別給与額
1,000人以上361.8千円1,205.8千円
100〜999人334.8千円966.8千円
10〜99人323.8千円708.4千円

月給の差よりも、賞与の差の方が大きく出ています。くわしくは自動車整備士の年収・給料で紹介しています。

休みが動機の人:休みの曜日まで見る

整備の職場は、日曜・祝日に営業することもあります。厚生労働省の職業情報サイト(2021年時点の掲載)では、交替制の週休二日制を採用する企業も多いと紹介されていました。

『家族と休みを合わせたい』という方は、年間休日の数だけでなく、休める曜日まで確かめておきましょう。

資格を活かしたい人:これからの検査員の条件も知っておく

国土交通省の発表では、令和11年4月1日から、自動運転車の検査を行う検査員は1級の整備士に限られます。電子制御の整備ができる人は、これからますます頼りにされそうですね。

2級を持っている方は、2級合格日から3年以上の実務経験で1級を受けられます。1級を目指せる職場かどうかも、転職先を選ぶ時の判断材料になります。

整備士の求人は多い

国土交通省の資料では、自動車整備要員の有効求人倍率は令和5年度に4.99倍でした。全職種の1.17倍と比べると、整備士を探している職場がとても多い状態です。

特定技能の運用方針でも、自動車整備分野では5年後に2万8,000人程度の人手不足が生じると推計されています。JASPAの令和7年度の調査では、整備要員は402,367人、そのうち整備士は333,475人でした。

経験のある整備士は、転職先を選びやすい立場にあると言えます。だからこそ、動機に合う職場を落ち着いて選びたいですね。

今の職場で変えられることもある

転職の前に、今の職場で相談してみる道もあります。国土交通省は整備士の職場づくりのガイドラインを令和7年6月に改訂し、資格手当の支給や勤務シフトの柔軟化などの取組例を示しています。

例えば、こんなふうに相談してみるとよいでしょう。

「2級を取ったので、任される作業を広げてもらえませんか?」
「休みの曜日を交替で選べるようにできませんか?」

相談してから決めても遅くない

転職は、今の職場で変えられないことがはっきりしてからでも遅くありません。相談した結果は、次の職場を選ぶ時の判断材料にもなります。

職場の種類ごとの向き不向き

ここでの結論

ディーラー、整備工場、指定工場、大型車の工場、公務員など、整備士の職場にはいろいろな種類があります。4つの動機ごとに、どの職場を候補にするかを表で確かめてみてください。

『整備士の転職先って、結局どこがいいの?』という疑問には、動機によって答えが変わります。

動機ごとに候補になる職場

動機候補になりやすい職場確かめたいこと
給料ディーラー、規模の大きい会社資格手当と賞与の実績
休み休みの曜日を選べる職場、公務員年間休日と休みの曜日
仕事の中身大型車や二輪を扱う職場、電子制御装置整備を行う職場扱う車と研修
資格を活かす指定工場(検査員を目指す)、公務員の整備職検査員の教習や資格の条件

ディーラーと整備工場の数字を見てみる

日本自動車整備振興会連合会(JASPA)の令和7年度の調査では、整備要員の平均年収(自家を除く)は4,428.9千円でした。業態別では、専業・兼業の整備工場が4,015.2千円、ディーラーが5,351.2千円です。

平均年齢は、専業・兼業が52.1歳、ディーラーが37.9歳でした。職場の種類によって、働いている人の年代もかなり違うことが分かります。

業態整備要員の平均年収整備要員の平均年齢
全体(自家を除く)4,428.9千円47.7歳
専業・兼業4,015.2千円52.1歳
ディーラー5,351.2千円37.9歳

この年収は、給与、各種手当、賞与を含んだ業界団体の調査の数字です。職場の違いはディーラーと整備工場の自動車整備士の違いで詳しく紹介しています。

新しい技術に触れたい人の職場

令和2年4月から、自動ブレーキなどのカメラやレーダーの調整は「電子制御装置整備」として、国の認証が必要な作業になりました。この作業を行う職場では、電子制御の新しい技術に触れる機会が増えます。

電子制御装置整備の整備主任者になるには、運輸支局長等が行う講習の修了が必要です。一級小型自動車整備士は、この講習が免除されます。

ディーラーに移るよさ
  • JASPAの調査では平均年収が高めに出ている
  • 自社メーカーの車を深く学べる
  • 同じ調査で平均年齢が若めに出ている
ディーラーに移る時に考えること
  • 扱うのは主に自社メーカーの車
  • 職場の方針や研修の決まりに合わせる
  • 職場によっては転勤や異動がある

40代の自動車整備士の転職:経験を強みにする

ここでの結論

40代の自動車整備士の転職では、これまでの経験と資格がそのまま強みになります。検査員や整備主任者など、経験を条件にした役割を目指す道もあります。公務員の整備職は年齢の条件があるので、募集要項で早めに確かめてみてください。

『40代で転職なんて、今さら遅いかな』と思う方もいますよね。ただ、整備の仕事では経験の長さが評価されやすいんです。

検査員を目指す転職

指定工場の自動車検査員になるには、指定自動車整備事業規則で条件が決まっています。分解整備を行う事業場の整備主任者として1年以上(1級の合格者は6月以上)の実務経験があり、地方運輸局長が行う教習を修了した人などです。

今の職場で整備主任者を経験しているなら、指定工場への転職で検査員を目指す道があります。くわしくは自動車検査員とはで紹介しています。

公務員の整備職は年齢の条件を確かめる

警察や自衛隊、自治体にも、整備の資格を活かせる採用があります。ただし、年齢の条件がある募集が多いです。

1つの例主な条件仕事
京都府警察の一般職員(自動車整備士)令和8年度令和9年4月1日時点で40歳以下、1級か2級の資格警察車両の整備など
陸上自衛隊の技術陸曹(整備)令和8年度21歳以上、二級整備士と大型第1種免許、2年以上の実務経験採用時の階級は2等陸曹
山梨県職員(職業訓練職:自動車整備)令和8年度昭和56年4月2日以降生まれ、1級か2級の資格など訓練校での指導など

いずれも1つの例なので、受けたい所の募集要項で確かめてみてください。公務員の道は公務員の自動車整備士で紹介しています。

40代の転職で伝えたいこと

40代の転職でまとめておくこと
  • 持っている資格の正式名称と合格した年
  • 整備主任者や検査員の経験があるか
  • 得意な作業(車検・故障診断・電子制御など)
  • 後輩に教えた経験やお客さんへの説明の経験
  • 働き方の希望(休み・勤務地・役割)

履歴書の書き方は自動車整備士の資格の履歴書への書き方で紹介しています。

自動車整備士から異業種へ転職する時の考え方

ここでの結論

異業種に移る時は、整備士として身につけた力を言葉にしておくのが大事です。機械の仕組みの理解、手順どおりに作業する力、故障の原因を探す力は、整備以外の仕事でも活かせます。

『整備士の転職先は、異業種だとどこがある?』と気になる方も多いはずです。整備士の資格を活かせる仕事はいろいろあります。

整備士の経験を言葉にする

異業種に移る時は、整備の経験を相手に伝わる言葉に置きかえてみてください。

整備士の経験異業種で伝える時の言い方
点検・整備の作業決められた手順で正確に作業してきた
故障の原因を探す不具合の原因を順番に絞り込んできた
お客さんへの説明専門的な内容を分かりやすく伝えてきた
工具や機械の扱い機械の仕組みを理解して扱える
点検整備記録簿の記入作業の記録を正確に残してきた

製造や設備の保守など、機械を扱う仕事では特に伝わりやすい経験です。資格を活かせる仕事の一覧は自動車整備士の資格を活かせる仕事で紹介しています。

いきなり異業種の前に「整備の近く」も候補にする

整備の現場から離れたいけれど、車の知識は活かしたい、という方もいますよね。そんな時は、整備の近くの仕事も候補に入れてみてください。

例えば、車検の受付やお客さんへの説明、部品の手配、整備を教える仕事などです。山梨県の令和8年度の採用のように、職業訓練校で自動車整備を教える公務員の募集もありました。

方向仕事の例活きる経験
整備の近く受付・説明、部品の手配、検査車の知識と説明の経験
教える側訓練校や学校での指導1級・2級の資格と現場の経験
車の外製造、設備の保守機械の仕組みの理解と手順どおりの作業
よくある失敗

「整備士がきついから」だけを理由に異業種へ移ると、面接で前向きな話がしにくくなります。次の仕事で何をしたいかを先に決めて、その理由として整備の経験を話せるようにしておきましょう。

自動車整備士の転職でよくある相談

ここでの結論

よくある相談は「整備士を辞めた人は異業種に移るの?」「検査員まで持っているけど今の職場を出るべき?」「製造業への志望動機が書けない」の3つです。どれも、動機と経験を書き出すと答えが見えてきます。

知恵袋には、整備士の転職についての相談が多く寄せられています。よく読まれている相談を要約して答えてみますね。

相談1:整備士を辞めた人は異業種に移っているの?

『整備士を辞めた人は、そのあと異業種に転職しているの?』という相談です。

整備士を辞めた人のうち何人が異業種に移ったか、という公的な数字は見当たりません。ただ、整備の職場どうしで移る道も、異業種に移る道もあるのは確かです。

整備士の求人は多いので、まずは整備士のまま職場を変える道を考えてみるのもよいでしょう。そのうえで、整備以外にやりたいことがあれば異業種を選ぶ、という順番がおすすめです。

例えば『給料が不満で辞めたい』のなら、整備士のまま賞与の多い職場に移るだけで解決することもあります。動機が整備の仕事そのものにあるのか、今の職場にあるのかを分けてみてください。

相談2:整備士と検査員を持っていて、今の職場を出るべき?

『整備士と検査員の資格を持っていて、個人の車屋さんで働いています。家族もいるので迷っています』という相談です。

検査員の経験は、指定工場で求められる貴重な経験です。家族がいる方は、給料だけでなく休みや勤務地も含めて、4つの動機のどれを一番大事にするかを決めてみてください。

在職中に求人を比べて、今より条件の良い職場が見つかった時だけ動く、という進め方もあります。

相談3:整備士から製造業への志望動機が書けない

『整備士から製造業に移りたいけど、志望動機が上手く書けない』という相談です。

整備の経験を、製造の仕事で活きる言葉に置きかえてみてください。例えば「手順どおりに正確に作業してきた」「不具合の原因を絞り込む力がある」は、製造の現場でも求められる力です。

『なぜ製造なのか』を自分の言葉で一つ決めると、志望動機の軸がぶれにくくなりますよ。

相談4:転職エージェントに勧められた職場、どう判断する?

『転職活動中で、エージェントから紹介された整備工場が自分に合うか分からない』という相談です。

紹介された求人も、自分で探した求人と同じように4つの動機で並べて比べてみてください。分からない所は、エージェントを通して会社に聞いてもらうこともできます。

すすめられたから決めるのではなく、自分の動機に合うかどうかで決めるのが後悔しないコツです。

自動車整備士の転職の進め方

ここでの結論

転職は、在職中に動機の書き出しと求人の比較を進めるのが基本です。ハローワーク、求人サイト、転職エージェントなどを組み合わせて、条件を比べてから応募しましょう。

『何から手をつければいいか分からない』という方のために、進め方を順番に並べてみました。

自動車整備士が在職中に転職を進める流れを示した図解
自動車整備士の転職の進め方
  1. 転職したい理由を4つの動機に分けて書き出す
  2. 持っている資格と経験を書き出す
  3. 求人を集めて、給与の内訳・休み・資格支援・扱う車で比べる
  4. 面接で分からない所を聞き、条件を書面で確かめる
  5. 内定が出てから、今の職場に退職を伝える

転職エージェントや求人サイトの使い方

転職エージェントは、求人の紹介や条件の確認を手伝ってくれるサービスです。在職中で時間が取りにくい整備士の方にとっては、使いやすい方法の一つです。

ただ、すすめられた求人をそのまま選ぶのではなく、自分の動機に合うかを確かめてから応募してみてください。ハローワークや求人サイトと組み合わせると、比べられる求人が増えます。

求人票の見方は自動車整備士の求人の探し方で詳しく紹介しています。

動機がはっきりしたら、整備士の求人をいくつか並べて比べてみると、今の職場との違いが見えてきます。比べた結果、今の職場で続けると決めるのも立派な選択です。

辞める前に確かめておきたい実務経験の証明

これから上の級を受ける予定がある方は、今の職場での実務経験の扱いも確かめておきましょう。受験の申込では、受験資格があることを証明する書面が必要です。

国土交通省の通達では、実務経験の記載が正しくないと分かった場合、合格が無効になることがあります。その場合は最大3年の受験停止です。

働いた期間と作業の中身は、退職の前に職場と一緒に確かめておくと安心です。

退職前に確かめておくこと
  • 今の職場での実務経験の期間と作業の中身
  • 実務経験証明書を書いてもらえるか
  • 講習に通っている途中なら、修了の扱い
  • 資格の合格証書が手元にあるか

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よくある質問

自動車整備士の転職は在職中に進めた方がいいですか?

在職中に動機の書き出しと求人の比較を進めるのがおすすめです。内定が出てから退職を伝えれば、収入が途切れる心配を減らせます。

40代の自動車整備士でも転職できますか?

整備士の求人は多く、経験や資格が評価されやすい職種です。公務員の整備職のように年齢の条件がある募集もあるので、募集要項で確かめてみてください。

自動車整備士の転職でエージェントは使った方がいいですか?

在職中で時間が取りにくい方には使いやすい方法です。すすめられた求人も、自分の動機に合うかを確かめてから応募しましょう。

転職すると、それまでの実務経験はリセットされますか?

受験資格の実務経験は、実務経験として認められる職場での経験を数えるものです。前の職場の経験も、証明できれば受験資格に使えるかを確かめてみてください。証明の方法は、受験する振興会や運輸支局に確かめるのが確実です。

整備士から異業種に転職する時、何をアピールすればいいですか?

手順どおりに正確に作業する力、不具合の原因を絞り込む力、専門的な内容を分かりやすく説明する力などを、具体的な場面と一緒に伝えてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 転職の動機を給料・休み・仕事の中身・資格を活かすの4つに分ける
  • 動機ごとに、ディーラー・整備工場・指定工場・公務員などから候補を選ぶ
  • 40代は経験と資格が強み。検査員や整備主任者の道もある
  • 異業種に移る時は、整備の経験を相手に伝わる言葉に置きかえる
  • 在職中に求人を比べ、内定が出てから退職を伝える
自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

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