高校から自動車整備士になるには|何科に進む?高卒・中卒の道

高校から自動車整備士になる道を紹介する記事のアイキャッチ。高校の実習場と教科書

当サイトの記事は編集部が法令・国土交通省・厚生労働省などの公的機関の情報、業界団体の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に整備士の求人・転職さがしのサービスへの案内(広告)を含みます。

車が好きで、将来は自動車整備士になりたいと考えている中学生や高校生の方も多いはずです。『高校は何科に行けばいいの?』『高卒でもなれる?』と迷いますよね。

結論から言うと、自動車整備士は高校の科や学歴にかかわらず目指せる仕事です。ただ、どの道を選ぶかで、資格を取れるまでの年数が変わるんです。

この記事を読めば、中学・高校から整備士になる3つの道と、自分に合う進み方が分かります。保護者の方にも読んでいただける内容です。

目次

自動車整備士になるのに学歴は関係ある?

先に結論

自動車整備士の受験資格は、学歴だけで決まるわけではありません。整備の実務経験を積めば、中卒でも高卒でも3級から受けられます。学歴で変わるのは、受験までに必要な経験の長さです。

『整備士って、専門学校を出ないとなれないんでしょ?』と思っている方も多いですよね。国土交通省が行った高校への訪問でも、「整備士の資格を保有していなければ、自動車整備工場には就職できないものと認識していた」という声が紹介されています。

でも実際は、資格がない状態で整備の職場に入り、働きながら資格を取る道もあるんです。

学歴で変わるのは「経験の長さ」

国土交通省の受験資格の表では、3級に必要な実務経験が学歴や学科で次のように分かれています。

学歴・学科3級に必要な実務経験
中学校・高校・大学を卒業(実務経験のみで受ける)6か月以上(15歳となった日以降)
機械・電気・電子に関する学科を卒業3か月以上
自動車科・自動車整備科を卒業なし
一種養成施設の課程を修了なし

年数は令和7年7月8日の改正後の値です。昔の「1年以上」という情報を見かけたら、古い内容だと考えてください。

つまり、自動車整備士の学歴の差は「なれるかどうか」ではなく「何か月で受けられるか」の差なんです。

中学・高校から整備士になる3つの道

ここでの結論

中学・高校から整備士になる道は「自動車科などのある高校で学ぶ」「高卒で整備の職場に就職する」「高校の後に専門学校へ進む」の3つに分けられます。

自動車整備士への道はいろいろあって、どれを選べばいいか迷いますよね。そこで、高校から先の進み方を3つに分けて、時間の流れで並べてみました。

中学・高校から整備士になる3つの道を、高校で学ぶ・高卒で就職・専門学校へ進むに分けて示した図解
時期道1:自動車科などの高校道2:高卒で就職道3:専門学校へ進学
高校在学中自動車の授業と実習を受ける普通科・工業科などで学ぶ普通科・工業科などで学ぶ
高校卒業時三級課程なら卒業時に3級の受験資格整備の職場に就職する専門学校の二級課程に入る
卒業から半年3級を受ける実務経験6か月で3級の受験資格在学中
卒業から2年2級へ向けて実務経験を積む3級合格後に実務経験を積む二級課程を修了し、2級を受ける

道3の専門学校は、国土交通省の案内で二級課程の修業年限が2年以上です。道1と道2は、3級に合格した日から2級の受験に必要な経験を数え始めます。

道1:自動車科などのある高校で学ぶ

国土交通省の一種養成施設の一覧には、高等学校の「自動車科」(中学卒業で入学・三級課程)や「自動車工学専攻科」(高校卒業で入学・二級課程)が載っています。高校の自動車科が、三級の養成課程を持っている例があるんです。

ただ、自動車科のある高校すべてが一種養成施設というわけではありません。志望校の学校説明会で「卒業すると3級の受験資格がもらえますか」と聞いてみてください。

道2:高卒で整備の職場に就職する

普通科や工業科を卒業して、そのまま整備工場やディーラーに就職する道です。働きながら実務経験を6か月以上積めば、3級を受けられます。

働きながら資格を取る進め方は働きながら自動車整備士の資格を取るにはで紹介しています。

道3:高校の後に専門学校へ進む

高校を卒業してから、一種養成施設の専門学校に進む道です。二級課程は高校卒業以上が入学の条件で、修了すると受験資格と実技試験の免除(修了後2年間)が得られます。

一種養成施設の一覧には、二級課程2年に一級(小型)課程2年を足した4年の課程を持つ学校もあります。専門学校について詳しくは自動車整備士の専門学校とはで紹介しています。

専門学校に進む時の学費の支え

道3を選ぶ時に気になるのが、学費ですよね。文部科学省の高等教育の修学支援新制度は、大学・短大・高専に加えて専門学校も対象です。

授業料・入学金の免除や減額と、返さなくていい給付型奨学金があります。住民税非課税世帯で昼間制の私立専門学校の場合、上限は授業料が年590,000円、入学金が160,000円です。

ただし、対象になるのは国の確認を受けた学校だけです。志望校が対象かどうかは、学校に聞いてみてください。学費について詳しくは専門学校の学費で紹介しています。

自動車整備士を目指すなら高校は何科がいい?

ここでの結論

高校の科で受験資格の条件が変わります。早く資格に近づきたいなら自動車科、選択肢を広く残したいなら機械・電気の学科や普通科、と考えると選びやすくなります。

『自動車整備士になるなら、高校は何科がいいの?』は、中学生からいちばん多い質問のひとつですよね。科ごとの違いを、受験資格の面から並べてみました。

高校の科3級に必要な実務経験2級に必要な実務経験(3級合格後)
自動車に関する学科なし1年4か月以上
機械・電気・電子に関する学科3か月以上1年4か月以上
普通科など6か月以上2年以上

自動車に関する学科の「なし」は、国土交通省の受験資格の表にある値です。三級課程の一種養成施設として指定を受けた高校なら、修了で実技試験の免除も受けられます。

高校の自動車の実習で、工具を使ってタイヤを外す手元の様子

自動車科のメリットと注意点

自動車科などに進む
  • 高校の3年間で自動車の授業と実習が受けられる
  • 卒業時に3級の受験資格がそろう学校もある
  • 2級までの実務経験が短くなる
普通科などに進む
  • 大学や他の仕事も含めて進路を広く選べる
  • 卒業後に就職か専門学校かを決められる
  • 3級・2級に必要な経験は長めになる

どちらにも良い所があるので、正解はひとつではありません。『まだ整備士に決めきれていない』なら、普通科で進路を広く残す考え方もありますよね。

自動車科のある高校を探す時に見たいこと

自動車科や自動車に関するコースを持つ高校は、地域によって数が違います。家から通える範囲にない場合は、寮のある学校を探す人もいますよね。

学校説明会で確かめたいこと
  • 一種養成施設の三級課程として国の指定を受けているか
  • 卒業時に3級の受験資格と実技の免除がもらえるか
  • 実習の時間がどれくらいあるか
  • 卒業生がどんな職場や学校に進んでいるか

国土交通省の一種養成施設の一覧(令和7年3月末時点)を見れば、指定を受けている高校が分かります。説明会の前に一度目を通しておくと、聞きたいことをまとめやすいですよ。

普通科でも整備士になれる?理系のほうがいい?

普通科からでも、整備士にはなれます。高卒で整備の職場に就職するか、専門学校に進めばいいんです。

理系かどうかについて、受験資格の決まりはありません。ただ、JASPAが公表した3級ガソリン・エンジンの問題には、電気回路の計算や総排気量の計算も出ています。数学や理科の基本は、今のうちにしっかり押さえておくと後で楽になりますよ。

大学や短大という選択肢も

高校の後の進路には、大学や短大もあります。国土交通大臣が定める自動車に関する学科を持つ大学・短大なら、卒業で課程に応じた受検資格が得られます。

専門学校との違いは自動車整備士を目指せる大学・短大で紹介しています。

高卒で自動車整備士になる時に知っておきたいこと

ここでの結論

高卒で就職して整備士を目指すなら、働きながら資格を取れる職場を選ぶことが一番大事です。実務経験に数えられる作業があるか、講習に通えるかを確かめましょう。

高卒で自動車整備士になる人は、入社してから資格を取るのが基本です。だからこそ、職場選びで資格までの道のりが変わるんです。

国も高校生の就職を後押ししている

国土交通省は、運輸支局長などが高校を訪問する取組を続けていて、令和7年度は560校を訪問しました。訪問先の意見には「初任給が20万円を超えないと求人票を見てもらえない」という声もありました。

令和7年7月8日の改正では、2級の受験に必要な実務経験が3級合格後3年から2年に短くなりました。国土交通省の資料には「高校生が3級自動車整備士資格を取得後、2級取得までに3年を要するのは、あまりに長い」という事業者の声が紹介されています。

高卒で入社してから2級までの流れ

高卒で就職した場合、資格の試験はJASPAの登録試験を受けるのが一般的です。登録試験は年2回で、例年、第1回の学科が10月上旬、第2回の学科が3月下旬に行われています。

高卒で入社してから2級までの流れ
  1. 4月に入社し、整備の作業を覚えながら実務経験を積む
  2. 実務経験6か月を見込んで、振興会の三級の講習に申し込む
  3. 講習を修了し、登録試験の学科に合格して3級に申請する
  4. 3級合格から実務経験を積み、二級の講習と試験に進む

工業高校の機械科などを卒業していれば、3級は実務経験3か月以上、2級は3級合格後1年4か月以上で受けられます。普通科より早く2級に届くんです。

高卒の就職で確かめたいこと

高卒で整備の職場を選ぶ時に確かめたいこと
  • 点検や分解整備など、実務経験に数えられる作業に入れるか
  • 振興会の講習に通う時の勤務の調整があるか
  • 講習費や受験料の補助があるか
  • 運転免許が必要か、入社前に取っておくべきか

厚生労働省の職業情報サイト(2021年時点の掲載)では、自動車整備士には自動車の運転免許が必要とされることが多いと紹介されています。卒業前に取れるかどうかも、学校の先生と相談しておきましょう。

例えば、職場見学ではこんなふうに聞いてみてください。

「入社してから3級を取る人は、どれくらいで取っていますか」
「講習に通う時は、勤務の調整をしてもらえますか」

給料については、地域や会社で違います。整備士の年収の目安は自動車整備士の年収・給料で紹介しています。

令和9年1月からの資格の見直し

今の高校生が資格を取るころには、資格の仕組みが新しくなっています。令和9年1月1日から、3級は「三級自動車整備士(総合)」「三級自動車整備士(二輪)」などに見直されるんです。

時期起きること
令和9年1月1日新しい資格制度が始まる
令和9年3月14日登録試験で三級(総合)などの学科試験が始まる
令和10年1月2級(総合)・3級(総合)の実技試験が始まる
令和10年4月1日旧課程の修了者は新しい課程の修了者とみなされる(受験資格の扱い)

今の資格に合格した人は、新しい資格に合格した者とみなされます。学校で学ぶことが無駄になるわけではないので、安心してくださいね。詳しくは資格制度の改正で紹介しています。

中卒・中学生から自動車整備士を目指すには

ここでの結論

中卒でも自動車整備士は目指せます。15歳以降の整備の実務経験を6か月以上積めば3級を受けられ、三級課程の一種養成施設なら中学卒業で入学できます。

『高校に行かずに整備士になれる?』と考えている中学生の方もいますよね。結論から言うと、なれる道はあります。

中卒から整備士になる道

3級の実務経験は、15歳となった日以降のものが数えられます。中学を卒業して整備の職場で働けば、6か月で3級の受験資格がそろいます。

また、一種養成施設の三級課程は、国土交通省の案内で中学卒業以上が入学の条件で、修業年限は1年以上です。中卒で通える学校を探すなら、三級課程を持つ施設が候補になります。

中卒からの道3級の受験資格2級へ進むには
整備の職場に就職する実務経験6か月以上3級合格後、実務経験2年以上
三級課程の一種養成施設に通う修了で受験資格(実技免除あり)3級合格後、実務経験1年4か月以上

ここで気をつけたいのが、2級の学校です。一種養成施設の二級課程は高校卒業以上が入学の条件なので、中卒のままでは入れません。

中卒で2級の学校を目指す時の注意

二級課程の入学の条件は「高等学校卒業者等」です。高卒認定などで入れるかは学校ごとの扱いになるので、志望する学校の募集要項で確かめてください。

中卒で働き始める時に気をつけたいこと

中卒で整備の職場に入る場合も、実務経験に数えられる作業に入れるかが大事です。国土交通省の通達では、オイルやタイヤなどの交換だけの作業や、アルバイトなど臨時の勤務は実務経験と認められません。

入社前の見学で「3級を取るまで、どんな作業を任せてもらえますか」と聞いておくと、資格までの道のりがはっきりします。働きながら振興会の講習に通って、3級を目指す道もあります。

中学生のうちにできること

中学生のうちは、整備の仕事を知ることから始めてみてください。国土交通省は、高校生向けの仕事体験や社会科見学の取組も進めています。

中学生が今からできること
  1. 整備の仕事の内容を調べて、どんな作業があるかを知る
  2. 自動車科のある高校の学校説明会に行ってみる
  3. 説明会で、卒業時にもらえる受験資格を聞く
  4. 家族と、高校・就職・専門学校のどの道に進むかを話し合う
中学生が自動車整備士を目指して今からできることを順番に示した図解

高校と自動車整備士についてよくある相談

この章について

ネットの質問サイトでよく見かける、高校生や中学生の相談を要約して紹介します。

相談1「普通科の高校1年生。理系のほうがいい?」

自動車整備士になりたい普通科の高校1年生で、理系に進んだほうがいいか、という相談です。

受験資格に文系・理系の決まりはないので、どちらでも目指せます。ただ、3級の学科にも計算の問題が出るので、数学や物理の基本は役に立ちますよ。

相談2「高卒認定から職業訓練の学校で2級は取れる?」

二級自動車整備士は高卒でないと取れないのか、高卒認定から職業訓練の学校に行っても取れるのか、という相談です。

2級の受験資格そのものは、3級合格後の実務経験でも満たせます。学校の二級課程は「高等学校卒業者等」が入学の条件なので、高卒認定で入れるかは学校の募集要項で確かめてください。職業訓練の学校についてはハローワークの職業訓練で自動車整備を学ぶで紹介しています。

相談3「整備の科に行きたいけど、本当はバイクが好き」

自動車整備科に行きたいけれど、本当は車よりバイクが好き、という相談です。

整備士の資格には二輪の区分もあります。今の制度では三級二輪自動車整備士などがあり、令和9年1月からは三級自動車整備士(二輪)などに見直されます。詳しくは二輪自動車整備士とはで紹介しています。

相談4「自動車科から3級を持ってディーラーに就職するメリットは?」

工業高校の自動車科を卒業し、3級を持った状態でディーラーに整備士として就職するのはどうか、という相談です。

自動車に関する学科を卒業した人は、2級に必要な実務経験が3級合格後1年4か月以上になります。普通科から就職した人の2年より短いので、早く2級を目指せるのが大きな利点です。

高校を出てすぐ働くか、学校に進むかで迷ったら、どんな職場が若い整備士を求めているかを見てみるのもおすすめです。整備士の求人を比べると、資格の支援がある職場も見つかりますよ。

整備士の求人・転職さがし(PR)

資格を活かせる職場を探すなら、整備士の求人も比べてみる

資格手当や資格取得の支援、扱う車の種類、休みの取り方は、職場によって大きく違います。地域や条件から整備士の求人を探して、今の自分に合う働き方を比べてみてください。

無料整備士の求人を探す

求人の条件・待遇は各求人票と応募先の案内でご確認ください。

よくある質問

自動車整備士になるには高校は何科がいいですか?

自動車に関する学科なら、3級の受験に実務経験が要らなくなります。普通科でも、高卒で整備の職場に就職するか専門学校に進めば目指せます。

高卒でも自動車整備士になれますか?

なれます。整備の職場で実務経験を6か月以上積めば、3級を受けられます。

中卒でも自動車整備士になれますか?

なれます。15歳以降の実務経験6か月以上で3級を受けられ、三級課程の一種養成施設は中学卒業で入学できます。

自動車整備士の学歴で受験資格は変わりますか?

学歴や学科で、受験に必要な実務経験の長さが変わります。機械・電気・電子の学科なら3級が3か月以上、自動車の学科なら実務経験なしで受けられます。

高卒と専門卒では、2級を取れる時期は違いますか?

専門学校の二級課程は2年以上で、修了すれば2級を受けられます。高卒で就職した場合は、3級合格後に実務経験2年以上(機械などの学科卒は1年4か月以上)が必要です。

まとめ

この記事の要点
  • 自動車整備士は学歴にかかわらず目指せ、学歴で変わるのは経験の長さ
  • 道は「自動車科などで学ぶ」「高卒で就職」「専門学校へ進む」の3つ
  • 自動車の学科なら3級は実務経験なし、普通科などは6か月以上
  • 中卒でも、実務経験6か月か三級課程の養成施設で3級を受けられる
  • 二級課程の学校は高校卒業以上が入学の条件
自動車整備士ガイド

自動車整備士ガイド 編集部

自動車整備士の資格の種類・受験資格・試験の日程と勉強法から、専門学校や働きながら資格を取る道、仕事内容・年収・求人の選び方までを、整備士を目指す人と働く人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次